グローブ・トロッターの創業 125 周年を記念して、代表的なコレクション「オリジナル」が現代にふさわしくアップデートされました。
アメリカの人気テレビドラマ『マッドメン』の主役、敏腕広告マンのドン・ドレイパーは架空の人物ですが、マーケティング、デザイン、生き方に関する鋭い意見は、現実の世界でも非常に役に立ちます。人間らしい欠点はありながらも理性的な彼の「シンプルに、しかし顕著に」というコメントは秀逸です。
ドン・ドレイパーは 1960 年代のエリート広告マンらしく、一分の隙もないファッションに身を包んでいます。そんな彼がグローブ・トロッターのスーツケースを持っていたとしても不思議ではありません。持っているのはおそらく、当時人気だった 「オリジナル」でしょう。それは、125 年前のグローブ・トロッター創業時から続くコレクションです。
「オリジナル」はその名のとおり、グローブ・トロッターが最初に発売したコレクションです。素材は、形成技術で特許を取得したヴァルカン・ファイバーボード。軽さと丈夫さを両立した独自の素材で、今もグローブ・トロッターのスーツケースの骨格を支えています。レザーのコーナーとハンドル以外、余計なディテールを付けないすっきりとしたデザインは、美しさと機能性の高さを同時に実現しています。英国のグローブ・トロッターの工房で、100 年以上前からほとんど変わらない製法で、ひとつずつ手作業で作られる「オリジナル」は、年々使い込むほどに魅力が増すのも特長です。実際に、グローブ・トロッターの工房には、何十年も前に販売され、古いトラベルステッカーを貼られた「オリジナル」のスーツケースが、あちこち傷だらけになった状態で持ち込まれることもしょっちゅうです。それらはていねいに修理され新品のような姿になって、また次の冒険の旅に出るために持ち主のもとに戻ります。
創業 125 周年の記念の年である 2022 年、グローブ・トロッターは「オリジナル」のスーツケースに再注目しました。「オリジナル」こそがグローブ・トロッターのすべての旅のはじまりであり、世界初の南極点到達やエベレスト登頂にも同行した、スーツケースの原点とも言える存在だからです。125 年の間、グローブ・トロッターのスーツケースは時代と共に進化と変化を繰り返し、デザインと機能性を向上させてきました。今では種類も増え、ラッパーのタイラー・ザ・クリエーターから数々のロイヤル・ファミリーメンバーまで、幅広いお客様に愛用されています。しかし、いくらバリエーションが増えても、 「オリジナル」の神髄である、余計なものをそぎ落としたミニマルなデザインと、優れた機能性は、1 世紀を超える歴史を経ても色あせていません。そこで、125 周年を記念した今回のアップデートでも、必要以上の装飾を加えることはせず、たったひとつ、ドン・ドレイパーの言う「シンプルで、しかし顕著な」進化だけを加えることにしました。「オリジナル」コレクション初の 4 ホイールモデルの発売です。
グローブ・トロッターのヴィセンテ・カステラーノ会長 は、次のようにコメントしています。 「旅のあり方は、グローブ・トロッターの創業時以降、大きく進化しています。当社のラゲッジも、現代の旅行者のニーズに応えるために進化し続ける必要があります。しかし、オリジナル コレクションのデザインはグローブ・トロッターの象徴として永遠に続くもの、すなわち時代を超えたものです。4 ホイールを搭載するにあたっても、美しく完成されたそのスタイルを損なわないよう、デザインの変更は最小限にしました。オリジナルの新モデルも、1897 年に発売した最初のモデル同様、世代を超えて受け継がれることを願っています」
グローブ・トロッターの最古参従業員、ジョー・ガレア氏 に聞く3 つの質問
2022 年の新「オリジナル」コレクションの発売を記念して、グローブ・トロッターの従業員の中で最も勤続年数の長いジョー・ガレアさんに話を聞きました。ガレアさんは、グローブ・トロッターの工房に勤務して35 年になります。
グローブ・トロッターに勤務して、最も楽しかったことは何ですか?
グローブ・トロッターの前に別のラゲッジブランドで働いていましたが、グローブ・トロッターに入ることが決まったときは、ハンドメイドのスーツケース作りに携わり、さまざまな技術が学べることがとてもうれしかったのを今でもはっきりと覚えています。ひとつひとつのスーツケースが手作りであると思えば、ケースに対する想いも変わります。仕事は日々、問題解決と課題への挑戦の連続ですが、だからこそ楽しいです。今は、ケースの修理やリフォームをしながら、後輩に技術を伝えています。
35 年間で最も記憶に残っている仕事はどんなものでしたか?
スキーケースを作れと言われたときのことは、強く記憶に残っています。他の製品とは全く違うし、長さもあるので、どんな方法で作ればいいのか非常に悩みました。ケースのボディを作るためにヴァルカン・ファイバーボードを曲げる機械もいったん解体し、スキーケースの長さに合わせて組み直したりしました。苦労したプロジェクトだったので、忘れられませんね。それから、2018 年にロイヤル・エア・フォース(英国王立空軍)の 100 周年を記念してコラボレーションモデルを作ったのも面白い経験でした。ボディをアルミニウムで覆い、専用のホイールを作って装着したのですが、さまざまなハードルがあり、問題解決や研究が必要でした。最終的に、とても素晴らしいケースを完成させることができました。
「オリジナル」のスーツケースがグローブ・トロッターの代表的デザインとして、時代を超えて愛されるのはなぜでしょうか?
「オリジナル」の特長は、シンプルさだと思います。シンプルであるがゆえに、丈夫さを重視したデザインが可能になります。「オリジナル」はグローブ・トロッターで最も昔からあるコレクションのひとつで、グローブ・トロッターがドイツのザクセン で創業した当時と同じものが今も販売されています。世の中の製品が栄枯盛衰を繰り返すなかで、「オリジナル」は時代を超えて残り続けているのです。
▼オリジナル 4 ホイールコレクションは、2022 年 7 月 11 日(月)よりオンラインストア、各ストアにて発売
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