05
Bespoke Service
Motofumi “Poggy” Kogi

“小木 “Poggy” 基史が体験する
ビスポークサービス”

OVER
100 YEARS
OF HISTORY
1897年創業。その100年をこえる歴史の中で本物を知る人たちに選ばれ続けているグローブ・トロッター。旗艦店であるグローブ・トロッター銀座では、自分だけのケースを作ることができるビスポークサービスが行われている。今回は、ファッションキュレーターの小木 “Poggy” 基史さんがビスポークを体験。
ハットを持ち運ぶための
格好良いケースを作りたい
ファッションキュレーターとして、コレクションやイベント、ミーティングなどで世界中を駆け巡る小木さん。彼の象徴的な外見といえば、ジャケットスタイルに特徴的な髭、そして大きなブリムのハットだろう。常時、30種類ほど所有しているというハットのケースを作りに、小木さんがグローブ・トロッター銀座をご来店。
小木「今日は、ハットケースを作りたいと思って来ました。海外に行く時もハットは、僕にとって欠かせないアイテムです。飛行機に乗るときは、これまで型崩れしないよう大事に膝の上に置いて過ごしていることもあったので、こういう時にこそハットケースがあれば……と思うことがありました。今まで探し続けていたのですが、僕が被るハットはブリムが7cm以上という長いものが多く、そうしたサイズ感に対応しつつ良いと思えるものになかなか出会えなかったんです。今日は僕が持っている中で一番大きなブリムのハットを持ってきました」。


「小木さんのイメージに合ったハットケース選びをお手伝いさせて頂きます」と、ビスポークサービスを担当する佐野文利が迎える。佐野は、日本で唯一本国の職人から指導を受けたグローブ・トロッターのビスポークを担当するスペシャリストだ。
佐野「ハットケースは、現在グローブ・トロッターで市販されていないものになります。過去にグローブ・トロッターで作ったことのあるハットケースをベースにお客様の理想をお伺いしていきながら形を考えていきます」。
サイズや色、裏地など
自分好みに作れる楽しさ
グローブ・トロッターでの、こうした希望に合わせたサービスは大きく分けると3つある。まずは、市販されているケースの配色などを変更するという「カスタム」。これは、インターネット上でも手軽にできる。さらに、より細かくオプションパーツの色変更を行う、「ビスポーク」。そして、今回のように特注で行う「スペシャルビスポーク」となっている。小木さんのようにケースの中に入れたいアイテムを実際に持参すると、より完成のイメージが見えてくる。


“ビスポークで大切なのは
どういう格好で
どういう風に使いたい
というイメージを持つこと”

小木「サイズはこの見本のケースの大きさでちょうど良さそうです。実際にハットを中に入れると、佇まいがとても格好良いですね。ケースの中にあるベルトでハットを固定できる仕様も、持った時に中で型崩れしないので嬉しいです。旅先にハットは、1つしか持って行かなかったのですが、本当は2個くらい持っていきたいといつも考えていました。1個入れる時と、2個入れた時に対応できるようにベルトは2対つけられると良いかもしれません。それと、肩に掛けられるストラップがあると手が塞がっている時でも便利なんですが、そういうこともできますか?」
佐野「可能です。スペシャルビスポークでは、まずは、お客様のご希望をお伺いして、それから本国であるイギリスの工場に確認を取り、専門の職人ができる、できないを判断するという流れです。ですので、制限がないのです。機械的に複雑なものは難しいのですが、ケース状の形状で、これまでのグローブ・トロッターのものづくりの延長線上でできるものであれば、実現させて頂きます。小木さんが仰った、内側のベルトを増やすこともビスの数が増える形にはなりますが可能です。ストラップも、追加オプションでご用意ができますので、問題ありません」。
小木「ありがとうございます。カラーに関しては、はじめはグレー色にしようと考えていたのですが、お店に置いてあるラゲージを見ているとダークブラウンも格好良く見えてきました……。色は、ダークブラウンにします。自分は普段、カーハートのダック生地のアイテムを着ることが、ここ最近多いのですが、それにもダークブラウンの色味は合いそう。今日はハットケースのオーダーに来ましたが、同色のスーツケースも揃えて欲しくなりますね」。
いざ、自分でビスポークをしようとすると、なかなか完成形のイメージが掴めず迷いそうだが、銀座店には、多くのコレクションが店内に揃うほか、ビンテージやビスポークサンプルケースの展示もされている。それが、ビスポークの時にアイディアの参考となり、イメージが膨らんでいく。これまでにも洋服をはじめとする多くのビスポークを体験してきた小木さんは、ビスポークを体験するときのコツとして、「最初にどういう格好でどういう風に使いたいというイメージを持つことが大事」と話すが、この日もそうした考えを軸に、お店にある実物のケースを参考にアイディアを膨らませていった。



小木「いろいろなケースを見ることで、こんなこともできるのか、とアイディアを得られますね。希望を言うと、ハットを被った時に様子を確認できるようフタの内側にミラーのようなものを付けたいです。内側のライニングも変えることができると伺いましたが、マッケンジー ドレスというタータンチェックの柄が好きで、もし生地があればそれにしたいです」。
佐野「内側のライニングは、今までリバティ・ファブリックス社やフォックスブラザーズ社の柄見本から選ぶことができましたが、最近になって別の生地メーカーから新たな柄生地を仕入れることが決まりました。タイミングよく、マッケンジー ドレスの柄を使用できると思います。小木さんのように、ご希望をどんどん仰って頂いた方が理想のケースに近づくことができるのでおすすめです」。
ほかの一般的なケースブランドと違い、グローブ・トロッターは修理しながら長く使うことができるのも魅力である。長く使いたくなるような、自分だけのお気に入りを作ることができるのもビスポークの楽しみだ。

会話することこそが
ビスポークの面白さ
小木さんはその後も、四つ角の素材やハンドル、ベルト、鍵……とディテールをどうするか、佐野と会話をしながら選んでいった。
小木「とても格好良いハットケースができそうです。ライニングにタータンチェックが使えるということで、アイディアが進みました。ビスポークは、語源をたどると『Be Spoken』。対話するという言葉から来ているように、こうやって、会話することの面白さがビスポークにはありますよね。今から完成が楽しみです」。

オーダーが終えた後の流れはこうだ。ビスポークスペシャリストの佐野との会話の中で生まれたアイディアが、この後、仕様書となりデータで内容の確認が届く。内容が正しければ、仕様書が英国に辺り、ビスポークを専門とした職人たちのもとへ。実現できる内容であれば、そこから製作は開始されていく。納期は、内容によって変動するがおおよそ6ヶ月以上かかる。こだわって選んだ一品をどう使うか、想いを馳せながら完成を待つのみだ。スペシャルビスポークでは、スーツケースから、今回の小木さんのようなハットケースやティッシュケースやバイオリンケース、マガジンケースといった用途を限定したものなど、ケースであれば幅広く製作が可能。大切な持ち物を入れる為のケースだからこそ、自分だけのスペシャルビスポークを選択する。ものと過ごす毎日がきっと充実することだろう。
小木 “Poggy” 基史
Motofumi “Poggy” Kogi
Fashion Curator
世界のファッション、カルチャーシーンを股に掛け活躍する日本を代表するファッションキュレーター。ファッションビジネスメディア「The Business of Fashion」が選ぶ、2023年度版の世界で影響力のあるファッション業界の500人に選出。
ビスポークサービスは要予約となります。
お電話にてご予約ください。
グローブ・トロッター 銀座
TEL. 03-6161-1897
1つのケースにつき約2時間の所要時間がかかります。より詳しい情報は、こちらから。
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