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Custom Paint Order Service
by NUTS ART WORKS
“ナッツ アート ワークスによる
特別なオーダーサインペイント”
OVER
100 YEARS
OF HISTORY
1897年創業。その100年をこえる歴史の中で本物を知る著名人たちに選ばれ続けているグローブ・トロッター。品格のある佇まい、使い込むほどにその人ならではの歴史が刻まれ、深まっていく魅力。そうした本物のラゲッジは、旅先での経験を特別なものにしてくれるだろう。
自分の好きを表現した
手で持ち運べる看板
筆と塗料、そして自身の腕だけを武器に印象的なペイントを生み出すサインペインター(看板屋)。その中でも東京を代表する作家として支持されるサインペインターであるナッツ アート ワークスが、グローブ・トロッターのラゲッジにオーダーペイントを行うイベントが今年7月に開催された。熱狂冷めやらぬまま幕を閉じた1日限りの特別なそのイベントの一部始終を紹介する。
好きなものを
素直に伝えてもらえれば
期待以上のペイントで返したい
オーダーペイントイベントを開催するにあたり、見本となるペイントを2つのラゲッジに施してくれたナッツ アート ワークス。イベント当日には来場者の前でライブペイントを披露し、なかなか目にすることのできない貴重なシーンに会場は盛り上がっていた。ラゲッジの一つは日本語バージョンで、グローブ・トロッターのキーワードを散りばめ、イベントが行われたグローブ・トロッター銀座店がある銀座エリアの歴史と品、重厚感を感じさせる。対して英語バージョンは、凛々しい表情をした愛嬌ある地球の周りを飛行機が飛び交う、旅をテーマにした逸品。それぞれのペイントのテーマついてナッツ アート ワークスはこう話す。
「日本語バージョンは、もしグローブ・トロッターを僕が好きな時代である戦前戦後や昭和初期に日本で販売していたらこういう謳い文句を載せた広告になっていただろう、という想像から作りました。英語バージョンにはイラストを入れようと思い、グローブ・トロッターといえば旅のラゲッジなので、地球と人をミックスしたようなイラストを考えました。グローブ・トロッターの素材であるヴァルカン・ファイバーは、素材として最高に描きやすいですね。ペンキ乗りがよく、シミや滲みはなくて綺麗に仕上がりました」。
アメリカンヴィンテージカルチャーを漂わせる作風を見ると、ペイントをオーダーすることにハードルの高さを感じる人は少なくないかもしれない。だがとあるお客さんがペイントオーダーをしている様子を見ていると、ナッツ アート ワークスはお客さんとの会話から人となりや趣味嗜好を読み解き、そのお客さんにふさわしいペイントとして表現するアイディアをみるみる膨らませていっていた。
「どうやってペイント内容をオーダーすればいいのかと迷われる方がよくいますが、自分が好きなものの写真や音楽の話などを聞かせてもらえると、そこから世界観を膨らませることができます。例えばファッションだと古着が好き、というような方向性が少しでもわかれば十分です。デザインとしては、昔のように装飾的で細かく詰まったものから今っぽいフラットなもの、一般的なフォントから昔ながらの筆記体フォントまで幅広いデザインの引き出しを持っているつもりなので、気軽にご相談してもらえると嬉しいです。オーダーを受けて、期待以上のペイントをお返ししたいと思っています」。
“ハンドメイドには、
個体差が魅力として現れる”
手作業による0.何ミリのズレが
アジとなり、美しさとなる
サインペインターであるナッツ アート ワークスとラゲッジブランドであるグローブ・トロッター。ペイントされたラゲッジはまさに持ち主の個性が溢れた“看板”となり、とても相性のいいコラボレーションだと実物を目にして感じた。両者の共通点として“ハンドメイド”が挙げられるが、ナッツ アート ワークスはハンドメイドの魅力を最後にこう話してくれた。
「筆と塗料を使って直線を引いたときに、僕としてはパソコンを使って機械的に引く乱れのない線を目指しているつもりなんです。でもサインペイントは人間の手で引く線なので、どうしても0.何ミリかはズレたりします。それがいわゆる“アジ”と呼ばれるものだと思うんです。どうしても出てしまう人間らしさがハンドメイドの魅力だと思っています。グローブ・トロッターのラゲッジも、創業当初から職人が手作業で作り続けていますよね。製品として個体差が出ないように注意していると思いますが、それでもやはり個体差はある。それこそがグローブ・トロッターが時代を超えて愛され続ける理由ではないでしょうか。もちろんパーツやディテールのアップデートはあるかもしれませんが、127年前に生まれた基本の形を変えずに、手作業にこだわり続けながらもグローバルブランドとして規模を拡大していることは本当にすごいことです」。
精確さを求めながらも、どうしても出てしまう人間だからこそのハンドメイドのブレ。それこそがアジであり、失われつつあるハンドメイドの美しさなのだ。職人が手作業で作るグローブ・トロッターのラゲッジに、ナッツ アート ワークスが手作業でサインペイントを描く。それは自分だけの持ち運べる看板であり、アートピースでもあるのだ。