グローブ・トロッターのトラベルケースが旅行のスタンダード・ナンバーとして今でも世界に愛され続ける理由をファッションジャーナリストのジョシュ・シムズ氏が語ります。
旅の代名詞のようなケース
古き良き旅のロマンを彷彿とさせるラゲッジを想像してください。
それは、バリスティック ナイロンでできたホイール付きのハイテクなスーツケースではないでしょう。
むしろそれは かつて、目的地のステッカーが多く貼られ、汽船やBOAC(英国海外航空)の旅客機に積み込まれた類のケースであり、所有者と同じぐらい旅慣れた姿のケースを連想する人が多いでしょう。
子供に、旅行に持っていくケースの絵を描いてごらん、と頼んでみると、おそらく後者のようなケースを描くことでしょう。
確かに、典型的なラゲッジとして多くの人が思い起こすのはグローブ・トロッターのケースである可能性は十分にあります。
歴史を通じてグローブ・トロッターのケースは、ロバート・スコットのような冒険家と共にアフリカの大地や南極の氷原を探検し、イギリス王室の面々と共に公式行事にも参加、そしてレザーパンツやヘアダイを詰め込んだロックスターと共にリムジンからペントハウススイートまでセレブの世界を体験してきています。
現在のグローブ・トロッターのケースも1897年の創業当時と変わらぬ素材で製作されています。
その素材とはコットンパルプや木材パルプを原料として作られるヴァルカン・ファイバーという素材です。
この軽量かつ非常に頑丈な特性を誇る機能的な素材を世界で初めて製造し、商品化したのがグローブ・トロッターなのです。
強靭なケース
グローブ・トロッターは創業当初、ハンブルグ動物園から借りてきた象をケースの上に乗せるというドラマチックなパフォーマンスでヴァルカン・ファイバーでできたトラベルケースの頑丈さをアピールしました。
サファリの旅においては非常に役立つ知識かもしれませんね。
また、グローブ・トロッターのキャビントランクが8トンの重さに耐えられるということを証明するデモンストレーションも行われました。
ちなみに、8トンという重さを象に例えると、何頭もの象の合計体重に匹敵する重さです。
他の高級ブランドでは、ロゴで埋め尽くされたエレガントなハンドメイド品は飛行機に乗る際、預け荷物には含めないよう勧める一方で、グローブ・トロッターの商品は手荒い扱いにも耐えられます。
例えば、リーバイスジーンズの501や、Barbour(バブアー)のジャケットなど、他のアイコニックなアイテムと同様に使用感がある方が格好良く見えます。
何十年にも及ぶ手荒い扱いに耐え、いったん修理やオーバーホールを受け、さらに何十年もの酷使に耐えられるよう鍛え上げられていくのです。
次なる大冒険は火星探検かもしれませんね。
今日におけるグローブ・トロッターの魅力は実用性もさることながら、その豊かな伝統にもあります。
ファッショントレンドはグローブ・トロッターのスタイルを追うことはあっても、決してグローブ・トロッターはトレンドを追うことはありません。
名車と名高いフォード・モデルTの色は黒のみであったのと同様に、グローブ・トロッターのケースは1960年代まではブルー、グレー、ブラウン、チャコールの4色のみが製作されていました。
当時、そして現在においても、これら4色は人気のあるカラーです。
結局のところ、壊れていないものは直しようがありません。
それに、何頭もの象をもってしてもグローブ・トロッターのケースを壊すことは相当難しいようです。
ジョシュ・シムズ氏は社会トレンドジャーナルViewpointの編集員を務め、フィナンシャルタイムズ紙、インディペンデント紙、Wallpaper*マガジン、エスクァイア誌等の媒体に寄稿しています。
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