Globetrotting With...テレンス・コンラン卿

17 Dec 19

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Globetrotting With...テレンス・コンラン卿

デザイン界の巨匠、テレンス・コンラン卿が創設したザ・コンランショップが日本上陸25周年を迎えました。

これを記念して、グローブ・トロッターからコンラン卿のデザインによる限定版のトラベルケースが登場いたしました。

旅への想い、ダ・ヴィンチの言葉をヒントにしたパッキングのコツ、グローブ・トロッターのスーツケースに込められた冒険スピリットについて、コンラン卿にお話を聞きました。

新しいトラベルケースをデザインなさった背景についてお話しいただけますか?

ザ・コンランショップはずいぶん前からグローブ・トロッターとお付き合いがあり、お互いに理解し合える親しい関係を築いてきました。

それぞれが相手のブランドの素晴らしさを認め、尊敬し合っていると思います。

ですが、これまで私自身がグローブ・トロッターのデザインを手がける機会はありませんでした。

今回、ザ・コンランショップの日本初オープン25周年を記念する特別なグローブ・トロッターのデザインをすることになり、本当にうれしく思っています。

今回目指したのは、時代を超えて愛される、シンプルで洗練されたデザインです。

25周年の記念ですから、これからの25年もずっと愛されるものであることも大切ですし、私のことを思い出してもらえるものにしたいとも考えました。

そこで外側はコントラストが引き立て合うダークな配色にし、内部にはコンランブルーを使ったシンプルなデザインにしました。

“Travel the world” テレンス・コンラン キャリーオン ネイビー

 

とは言え、そこに人間的な温かみも必要です。

そこでイギリスの田舎にある自宅の庭で、ゆっくりとアイデアを練ることにしました。

おいしい白ワインを1杯(いや、2杯だったかな)とシガーを2本、それにスケッチブックを携えて庭へ出ました。

とてもお天気のいい日で、目を閉じて、この25年間に出かけた数々の旅行のことを思い返していると、つい微笑んでしまうような楽しい場所やできごとや最高に楽しかった旅の思い出がよみがえってきました。

私はそれらをスケッチに描き出しました。
そうしてできあがったのが、この碁盤目状のデザインです。

マス目のひとつひとつに私の旅行の思い出を詰め込んであります。

ホックニー(※)には及びませんが、これは私が旅をして過ごしたこれまでの25年間の思い出を描いた、私自身の旅の記録です。

このシンプルな味わいが多くの皆さんに伝わること、そして皆さんも私と同じように、たくさんの冒険を楽しんでいただけることを願っています。

※ デイヴィッド・ホックニー(David Hockney) 英国生まれの画家。1960年代よりポップアート運動にも参加し大きな影響を与え、イギリスの20世紀の現代芸術を代表する1人である。アクリル画からiPhoneやiPadによるドローイングまで、最新のテクニックの活用で知られる。

普段からスケッチはよくするのですか?

いつもスケッチやデッサンをしています。

私に2Bの鉛筆とA4のレイアウト帳を持たせると、何日か行方不明になるかもしれません。

もちろん、今はデザイナーもテクノロジーを使いこなさなければいけない時代ですが、古いものと新しいものをうまく組み合わせることが、いちばん良い結果につながると思います。

グローブ・トロッターとのコラボレーションを私がこれほど歓迎しているのも、どちらも伝統的な理念を基盤としつつも、新しい視点で将来を展望し、現代性を積極的に取り入れるオープンなマインドを持っていることが理由のひとつでもあります。

ともあれ頭脳と手が連携して、紙と鉛筆でクリエイティブなアイデアを表現するのは非常に効率的な方法です。

これはテクノロジーにはまねできないと思いますよ。

デザイナーはもう少し詞的な感覚(と2Bの鉛筆)を作品に取り入れるべきではないでしょうか。

 

グローブ・トロッターというブランドのどんなところが好きですか?

旅の黄金時代をほうふつとさせる製品やアイデアですね。

製品の細部にまで気を配るクラフトマンシップも素晴らしいと思います。

物心ついたときからずっと、私にとって最高の旅行鞄と言えばグローブ・トロッターでした。

私が初めてグローブ・トロッターのスーツケースを買ったのは確か1960年代の終わりか70年代の初めでしたが、そのスーツケースは今も現役で活躍していますよ。

どんな言葉で褒めるより、この事実をお伝えする方が説得力がありますよね。

年とともに味わいを増し風格が出てきたそのスーツケースには、私が世界を旅したときの精神や冒険心が文字通り詰め込まれ、注ぎ込まれ、刻み込まれています。

 

デザインで最も大切にしていることをひと言で表すと?

すっきりとして、シンプルで使いやすく、そして、美しいことです。

レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉を引用するのはいささか僭越ですが、
「人間の英知が、自然の発明以上に美しく、シンプルで、実利的な発明を生み出すことはないだろう。自然の発明には何ひとつ過不足がないのだから」という言葉に強く共感しています。

 

世界の美術館やギャラリーの中で、お気に入りの場所はありますか?

ロンドンのサー・ジョン・ソーンズ美術館はいいですね。

これほど芸術を身近に感じられる美術館はなかなかないと思いますよ。

またチチェスターのパラント・ハウス・ギャラリーも訪ねる価値のあるところです。

手前みそになりますが、私が作ったデザインミュージアムも、ケンジントンへの移転が完了して本格稼働しています。

来館者も増加しており、熱心なファンも増えてきました。

ブリティッシュデザインの重要性を伝える素晴らしい展示を行っています。政府も注目していますよ。

 

イギリス以外では、カリフォルニアのイームズハウスが素晴らしいと思います。
何とかしてもう一度行きたいと思っています。

ニューヨークには言うまでもなくMoMA(ニューヨーク近代美術館)がありますし、典型的な展示室を備えたギャラリーとは少し違いますが、グッゲンハイム美術館も生きる喜びを感じられるところですね。

お気に入りの国や都市はどこでしょうか?

パリは本当に魅力的な街で、どんなに仕事が忙しくて大変だった週でも、金曜日の夜にユーロスターに乗ってパリへ行くのを面倒だと思ったことはありません。

嫌なことも全部、吹き飛んでしまいますよ。

 

 

東京も素晴らしい街です。

伝統的なものと超現代的なものが、完璧なコントラストを見せながら、絶妙なバランスで共存しています。

テクノロジーの可能性が花開き、高度に発展した都市でありながら、日常生活の中では伝統文化が大きな役割を占めているのです。

東京のエネルギー、喧騒、巨大なスケール感には圧倒されますが、実際に足を運んでみなければ、その密度の濃さやたくさんのレイヤーが複雑に重なり合った壮大さを実感することはできないでしょう。

その東京から小一時間ほど新幹線に乗れば、例えば那須など、のどかで静かな場所へも行けます。

ニューヨークも好きな街です。大きくて、勢いがあって、驚くほど自信に満ちていて、活気のある街ですね。

国で言えば、インテリジェントなデザインが毎日の生活に溶け込んでいる北欧の国々に魅力を感じます。
特にコペンハーゲンは素晴らしいです。

また極度の貧困などたくさんの社会問題はあるものの、キューバもいいところです。
先日キューバで休暇を過ごしましたが、私の人生で最高の休暇になりました。

インドも挙げておくべきでしょう。
もう60年近く、仕事やプライベートで何度も訪問しています。
賑やかで強烈な喧騒が五感を刺激してきますが、こちらはそれをただ受け止めるだけです。

 

これまで滞在した中で、最高のホテルは?

フランスの田舎の優雅なホテルと、東京の都心の近代的なホテルのどちらかでしょう。

プロバンスの真ん中に、ウストー・ド・ボーマニエールというホテルがあります。

昨今、フランスでは過剰に現代的で、魂を感じられないインテリアをアピールするホテルが多くなっていますが、ルストー・ド・ボーマニエールは、床にアンティークのタイルを使い、美しい庭に天使の像や噴水が配置されるなど、フランスの田舎のエッセンスを生かしたしつらえになっていて、古い時代の良さが感じられます。

もうひとつのお気に入りは東京のパークハイアットです。

日本の伝統とコンテンポラリーなデザインが調和したインテリアが美しく、東京の喧騒の中心にあるにもかかわらず静かで落ち着いた空間を楽しむことができる品格のあるホテルです。

サービスも完璧で、ベッドルームのリネン類も上質です。居心地のよさを何よりも重視していて、ゲストルームには最高レベルの最新設備がさりげなく用意されています。

 

外国での食事で、最も思い出に残っているものは?

初めてフランスへ海外旅行をしたときのことをお話ししましょう。
私はまだ若くて、とても貧乏な旅行でした。

私は厚かましくも、料理研究家のエリザベス・デービッドに、フランスを車で旅行するので、どこかいいレストランを推薦してくれないかと頼んでみました。

すると彼女は、ヴィエンヌの丘の上にあるラマストルという町のマダム・バラッテロという店はとてもいいと教えてくれました。

私たちが店に着いたとき、マダムは友だちといっしょに入り口の階段に座り、見たこともないほど大量のサヤインゲンの山を前に、ヘタを取る下ごしらえの最中でした。

ここの名物料理は、プーレ・アン・ヴェッシー(まるごとの鶏を、胸肉の皮の下に黒トリュフを詰めて豚の膀胱で包んだ料理)で、テーブルに運ばれてきたときは、ゆがんだフットボールのように見えましたが、マダムがよく切れるナイフで包みを切り開くと、トリュフ風味を含んだチキンのおいしそうな香りがたちまち部屋中に広がりました。

あの味は忘れられません。

私は世界中さまざまなところを旅して、たくさんの未知のおいしいものに出会いましたが、いちばんおいしかったのはあのプーレ・アン・ヴェッシーでした。

切り分けたもう半分は、次の日にサヤインゲンを添えて出されます。冷めてもおいしいんですよ。

 

荷造りはどんなふうにしますか?

ギリギリになって荷造りをするタイプです。

必要なものだけを持つ、ミニマリストスタイルですね。

スーツケースの中には「何ひとつ過不足がない」ように、つまりダ・ヴィンチ先生の教えのとおりです。

いつも、できるだけ身軽なしたくで出かけます。自宅でもオフィスでも身の回りにものをたくさん置きたくないので、旅先でもそれを実践しているわけです。

 

旅に必ず持っていくものは?

シガーです。
私は毎日4本吸いますが、休暇中の一服はまた格別です。

それからカメラ。

そして旅先でアイデアやイメージをスケッチするための白紙のノートを数冊とたくさんの鉛筆。
描いておけば後で思い出すきっかけになりますから。

現地のガイドブックも気に入ったものを持っていきますが、あまりガイドブックには頼りませんね。


I

最後に、世界の建物をどれでも所有できるとしたら、どの建物がいいですか? それはなぜでしょう?

自慢をするわけではないのですが、私はすでに、世界一お気に入りの建物を所有しています。

ロンドンのミシュランハウスです。
初めての住まいがミシュランハウスと道を挟んだところにあり、何年もの間、向かいのミシュランハウスを見て暮らしました。

建物が次第に劣化していく様子を見ながら、あそこが自分のものだったらいいのに、自分ならどんなふうに作り変えるだろうか、とあれこれ夢想していました。

やがてミシュランハウスは売りに出され、幸運にも私が買うことができたのです。

人生最高の日でした。

まだ所有していない建物から選ぶとすれば、ル・コルビュジエが設計したフランスのサヴォア邸ですね。

私は気楽な暮らしが好きなんです。

気取らないインテリアの部屋で、ジャケットを脱ぎ、ネクタイも外して座り心地の良いソファに深く体を沈め、リラックスできる音楽をかけて、心置きなく酒を飲む、そんな暮らしですね。

サヴォア邸はまさにそういう家です。

まるで夢のような家で、雑味の一切ないシンプルなインテリアは、肩ひじはらずに気楽に過ごせそうです。

屋内の大部分が広い空間で構成されていて、正面のファサードの端から端までを占める横長の窓からは、自然光や外気がふんだんに入ってきます。日当たりと風通しはどんなときでも効果的に気分を上げてくれるので、とても大切なものだと思います。

ザ・コンランショップの創始者テレンス・コンラン卿がグローブ・トロッターの為に特別にデザインした最初で最後のトラベルケースは2019年12月1日より100台限定で発売。

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