スイスのアルプスで1882年に創立されたLeo Trippi(レオ・トリッピィ)は5年連続で「世界最高のスキートラベルエージェント」の栄冠を手にしているスキー旅行専門のトラベルエージェントです。
グローブ・トロッターの新コレクション「サン・モリッツ」の特別発表会を行った、高級シャレー(スイスの山小屋)でレオ・トリッピィのCEO オリ・コークヒル氏に、スキーと贅沢な体験を手配する仕事への情熱についてお話を伺いました。
これまでのキャリアを教えてください。
スキーは子どもの頃からずっと大好きでした。
10歳になる頃にはスキーに完全にのめり込んでしまい、スキーにしか興味が持てなくなるほどでした。
16歳の時にVerbier(ヴェルビエ)に移り、6回の冬を過ごしました。冬はもっぱらスキーに専念し、夏は氷河で雪を追いかけていました。
ヴェルビエでの最後から2番目のシーズンでは、52週のうち約46週間もスキーをしました!
当時はスキーのインストラクターをしたり、単に楽しむためのスキーをしていましたが、同時にヴェルビエでアント・カレンと出会い、共同でAlpine Guru(アルパイン・グル)というスキー旅行代理店を設立しました。
その後、Villa Guru(ヴィラ・グル)という別の代理店も共同設立しました。ヴェルビエでの6年間で、これらのビジネスを構築し、2016年にLeo Trippiに売却しました。
初期のベンチャー起業だった頃は、ニッチマーケットを狙っての起業だったのでしょうか?
スキーシーズンが終わる度に何かビジネスチャンスを模索していたのですが、どうすればよいのか分からずに時が過ぎていました。
ニッチマーケットを狙う必要はなかったのですが、スキー旅行代理店という職業はとても良いチャンスに思えたのです。
というのも当時、今となってはLeo Trippiの商品にもなっている有名シャレーでもスキーのインストラクターをしていましたので、ゲストの方々との繋がりが出来上がっていました。
お客様との個人的な繋がりが確立していれば、次もまた予約をして頂ける場合が多いのです。
そうしたお客様との繋がりが契機となりました。
Leo Trippiの背景について教えてください。
Leo Trippiというのは実在の人物の名前です。
彼は私のビジネスパートナーの一人、フロリアン・シュタイガーの曾祖父に当たります。
元々トリッピィ一家はサン・モリッツ郊外のPontresina(ポントレジーナ)というマウンテンリゾート地で家族経営のホテルを所有しており、のちにサンモリッツに3つ、そしてシチリア島に1つの、合計4つのホテルへとホテルグループを拡大しました。
当時のスイスのホテル業界ではレオ・トリッピィは大物であり、私の現在のビジネスパートナーたちが旅行代理店を設立しようと計画していた際、長年、ホテル業界に従事し、豊かな歴史を誇るトリッピィ一家の物語をぜひ打ち出したいということでLeo Trippi社が設立されました。
ご自身にとってのグローブ・トロッターの魅力とは?
以前からずっとグローブ・トロッターの名前は知っていて、空港でグローブ・トロッターのトラベルケースを見かける度に「欲しい!」と思っていました。
Leo Trippiはスイスの旅行会社で、グローブ・トロッターはイギリスのブランドで国は違えども、双方に通じる感性を強く感じます。
グローブ・トロッターは、長い間、憧れ続けてきたブランドです。Leo Trippiの在り方と弊社のお客様とも繋がりがあるように感じられます。
私自身はトロリーケースと新コレクション「サン・モリッツ」の30インチケースを愛用しています。
Leo Trippiの起源はサン・モリッツにある訳ですから自然の流れと言ってもよいかもしれませんね。
飛行機に乗る度に、特にグローブ・トロッターをよくご存知のキャビンクルーからお誉めの言葉を少なくとも1度は頂戴します。
お客様のためにご手配された特別な、あるいは、贅沢な企画で印象に残っているものはありますか?
Leo Trippiでは異なる世代から成る大人数のグループのための旅行手配を得意としており、喜んで受け入れております。
昨年はサンフランシスコからのご一家がヴェルビエのシャレーを予約されたのですが、ご一家のご希望として、1日は「アッと驚く」体験がしたい、とのことでした。
そこで、山へのハイキングを企画したのですが、目的地となる地点には雪を彫刻してテーブルを作り、シェフによるバーベキューが行われ、おまけにカクテルバーまで作り上げました。
氷河の上、もしくは、山頂で周囲に誰もいない環境でのバーベキューは特別な企画でしたね。
贅沢な企画で言えば、一度、8歳の男の子のためにパリからわざわざヘリでグランドピアノを運んだことがあります。それはかなり贅沢なご旅行でしたね。
一番お気に入りのスキースポットは?
いくつか挙げるとすれば、Les Trois Vallées(三つの谷)、大規模スキー場のCourchevel(クールシュヴェル)、そしてやはりサン・モリッツ。
これまでで最も楽しかったスキースポットのひとつはアルゼンチンのBariloche(バリローチェ)でした。
南米を旅している途中、スキーをするためにそこに1週間滞在しました。他とは全く違うチャーミングな場所でした。
ノルウェーもお気に入りです。
小さい頃に3年ほどノルウェーにも住んでいたことがありましたので、ノルウェーと何か繋がりを感じます。
「死ぬまでに訪れたい場所のリスト」に挙がっている場所は?
南アフリカは以前、訪れたことがありましたが、より深く探究してみたい場所です。
ボルネオ島にも惹かれます。
まだ訪れていない国としてはオーストラリアとニュージーランドがありますが、6~8週間ほどかけてじっくり訪れてみたい国々です。
オーストラリアとニュージーランドの旅はぜひとも実現させたいです。
できれば安宿は避けて、ちゃんとしたホテルに泊まりながら。
驚きを感じた旅先はこれまでにありましたか?
アゼルバイジャン共和国の首都、Baku(バク)はカスピ海のモナコのような街に豹変していました。
アゼルバイジャンは大変豊かな国でもあり、同時に貧困問題も深刻です。
強いコントラストのある国なのです。
私は8歳から13歳までアゼルバイジャンに住んでいましたが、大人になってから訪れてみて大きな変化に驚きました。
これほどまでに急速に変化できる街があるのか、と信じられないほどでした。
もうひとつ驚いた街は上海でした。
とにかく人の多いこと。上海は大変美しい街ですが圧倒されっぱなしでしたね。
旅に必ずお持ちになるものは?
グローブ・トロッターのトラベルケースです。
また、旅先でランニングしたりジムに通ったりできるようにスポーツウェアも持参するようにしています。
基本的には荷物は少なく、必要最低限の物しか持っていきません。
忘れ物があったとしても旅先で購入できる場合が多いです。
以前は荷物が多過ぎて失敗することもよくありました。
荷造りのスタイルは?
いつも直前になって荷造りするタイプです。
空港のゲートが閉まる直前に駆け込む最後の搭乗者となってしまうケースがほとんどです。しかし、荷物は少ない方です。
旅の回数は多いものの、比較的短期間の旅が多いので、通常、大荷物になることはありません。
頻繁に旅に出かけているうちに、必要と思われる物も実際には不要だということを徐々に学ぶことができたのかもしれません。
妻の荷造りを見ていると「1年も旅をするわけじゃあるまいし」と思ってしまうほど大量の荷物を詰め込んでいますね。
最近、旅行中に読んだ本は何ですか?
最後まで読み通した本としては、ビル・ブラウダー著の「国際指名手配―私はプーチンに追われている」という本でした。
ロシアでヘッジファンドを設立した経験が描かれている本です。
本としても大変面白く、また、弊社は最近、モスクワにオフィスを開設したばかりなので、友人に勧められて読みました。
ロシアでこれからビジネスを展開しようとしている人にとって良いイメージが湧く本ではありませんが、内容がとても素晴らしかったです。
次に読みたいのはロビン・シャーマの「The 5am Club」。
私はノンフィクション派です。架空の物語よりも実在の人物と真実の物語を読みたいですね。
お土産は買う方ですか?
個人的な休暇旅行でしたら地元のアート作品を買ったりもします。
自国では絶対に手に入らないような、その土地独特のアートを探し出して購入することにしばらくハマっていましたね。
おかげさまで良いコレクションとなりましたが、まだきちんと飾ることができていないのが残念です。
これまでの最高のホテルは?
インドのラグジュアリーホテルチェーンのSujánが経営し、ラージャスターンにあるSher Baghというサファリキャンプ型ホテルが最高でした。野生の虎を観察できる場所でした。
サービスは申し分なく、フレンドリーなスタッフばかりでした。
今年の1月に訪れましたが、お薦めの場所です。とにかく素晴らしい体験ができました。
最も印象深い海外でのお食事は?
数年前に訪れたベトナムのホーチミン市にあるCuc Gach Quanが素晴らしかったです。
大きな大衆食堂のようなレストランで混沌としていて人当たりはあまり良くありませんでしたが、とにかく美味しいベトナム伝統の食事に感動しました。
Leo Trippi x Globe-Trotter による新コレクション「サン・モリッツ」特別発表会は2019年9月24日、グローブ・トロッターのフラッグシップストア、メイフェア店にて開催されました。 leotrippi.com
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