パイロットであり、Bremont(ブレモン)の創業者の1人であるジャイルズ・イングリッシュが空の魅力を語ります。
私の父は腕の立つエンジニアであり、実家の農場で常に古い時計や航空機などの修理を行っていました。私も幼い頃にヴィンテージ飛行機の修理を手伝ったことを覚えていますが、修理の後は、父に飛行機に乗せてもらっていました。このことがきっかけとなり、私は飛行機や機械に夢中になるようになりました。
初めて自分で飛行機を操縦した時は私にとって一生忘れることのない感動でした。インストラクターに突然「はい、時間です」と言われ、絶対に自分だけでは操縦できないと思っていても空にいる限り、逃げ道はありません。この時の、初めて操縦した感覚はジャンボ機やヴィンテージ機に乗るなど、どのフライトでも毎回蘇ってきます。
私はヴィンテージ飛行機が大好きで、ロマンを感じます。ただ機械として操るのは簡単ではありますが、その物自体にクラフトマンシップと美しさの魅力があるのです。クラシック・カーを修理してコレクションしている人と同じかもしれません。
空中にいるときは、仕事のことも問題のことも考えず、ただアドレナリンが放出され、完全な自由を感じることができるのです。
私とニック[兄弟・Bremont共同設立者]は、航空黄金時代と航空のレーシングにインスピレーションを受けてきました。私は1930年代にエイミー・ジョンソンが操縦したジプシー・モスの飛行機が大好きです。私は彼女がイギリスからオーストラリアまで飛んだソロフライトをいつか再現したいと思っていましたが、正直、実現するのは難しいと感じています。何と彼女はフライトを完了するのに20日かかり、2回も墜落したのです。正気の沙汰とは思えませんが、この飛行を成し遂げたい気持ちには共感できます。
私は空で素晴らしい風景やシーンを見てきました。特に印象に残ったのはノーフォーク地方を飛んでいる時の夕日でした。本当に格別の景色でした。
空を飛んでいる時に嵐の雲を見て胃が痛くなるような場面がありますが、飛行はスリリングとともにリラックスできる体験でもあります。スキーをしているような感覚に似ていて、時に集中してコントロールしなければならないのですが、同時に現実逃避をしてしまいます。私は飛行機を操縦しているときは、仕事や抱えている問題などは一切考えません。空を飛ぶ快感で自由の身になるのです。
私は飛ぶ時に必ず時計を持っていきます。時計は数多く持っていますが、最近よく身に着けるのは、グロヴナーハウスの優勝によってインスパイアされた限定版のBremont DH-88です。グロヴナーハウスは、1934年に世界最高と言われていた航空機レースの記録を破る素晴らしいフライトを見せた航空機です。時計作りと飛行の関係には長い歴史があります。飛行機の操縦には時間の計測がとても重要になってくるため、最初の腕時計はパイロットのためにデザインされたとさえ言われています。昔は地図、コンパスと腕時計に頼っていたので、飛行と腕時計は密接につながっています。
ジャイルズ・イングリッシュはパイロットであり、2002年に兄弟ニックと共同で立ち上げたブレモン・クロノメーターの創業者の一人です。ブレモンの時計は古典的な飛行、冒険、およびエンジニアリングにインスパイアされ、すべて英国製です。
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