アレキサンダー・マックィーンのためにデザインされたスカルと鋲のトラベルケースから、007ジェームズ・ボンドのためにデザインされたケース(銃身収納付き)まで、グローブ・トロッターは数々のユニークなコラボレーションを行ってきました。 しかし、Wallpaper*マガジンと、シンガポールとイタリアに拠点を置くデザインスタジオ、Lanzavecchia + Waiとの特別コラボレーションから生まれた新作のコレクターズケースほど人目を引く作品はこれまで無かったでしょう。Lanzavecchia + Waiの創立者、フランチェスカ・ランザヴェッキアさんとフン・ウェイさんはオランダのアイントホーフェンのデザインアカデミーでコンセプトデザインの博士号取得課程で出会いました。
その後、二人の友人同士は、シンガポールとミラノの2都市を拠点とするデザインコンサルタントスタジオを2010年に設立しました。以来、家具やインダストリアルデザイン、ビジュアルマーチャンダイジング、高級ブランド用の特別委託作品など、幅広い分野で活躍をし続けてきました。
「2 国間でのオペレーションのおかげで常に世界に対する新鮮な見方を維持することができています」と、ランザヴェッキアさんは型にはまらないデュアルオフィスの形について話します。「距離と時差はかえって便利な時もあります。お互いに仕事を引き継いでノンストップで作業が可能になったり、と。」
「お互いに【フィード】を交換できるのが良いですね」とフン・ウェイさんは付け加えます。「ヨーロッパでは何がトレンドなのか、どのような傾向にあるのか、アジアでは誰が火付け役でどのようなトレンドが起きているのか、などの情報を交換することができます。デザインというものは常に時代の文脈に沿うものでなければならないと思っています。」 コレクターズケースはミラノサローネ国際家具見本市に合わせて毎年開催されるクラフトとクリエイティビティを祝福するWallpaper* Handmadeイベントの第10 回目のためにLanzavecchia + Waiによってデザインされました。本年度(2019)のイベントのテーマは【千変万化の愛】であり、Lanzavecchia + Waiのデザインデュオは破壊的なスタイルでテーマに挑みました。
「私たちは常に他とは異なった視点からのアプローチを取り、可能な限り既存を破壊しようという試みを行っています」とランザヴェッキアさんは説明します。「何か驚きの要素も加えたいと思いました。予期せぬ何かを」とフン・ウェイさんは付け加えます。「グローブ・トロッターのケースはアイコニックなものですから、その存在を尊敬しながらも、どのようにサプライズの要素を加えられるかを考えました。」
結果、生まれたのがコレクターズケースです。ゴールドの手錠と鍵が付いている虹色のコンチェルティーナ(六角形のアコーディオン)型のバッグ。この一種独特なバッグには「私が好きなモノ」とラベルが貼られた小さな革製のノートパッドが付いてきます。バッグの持ち主の「コレクター」が旅で入手したアイテムをメモ書きするための小粋なオマケです。
バッグの製造についてグローブ・トロッターにお呼びがかかり、12 枚のマルチカラーのイタリア製カルフレザーがツギハギされ、奥行き60 センチまで伸びるバッグが出来上がりました。グローブ・トロッターのトレードマークであるヴァルカン・ファイバーとレザーコーナーも施されています。他のグローブ・トロッターの製品と同様にこのコレクターズケースも、1世紀以上も昔から変わらぬ職人技を駆使し、英国のハートフォードシャーにある工房でハンドメイドされました。
「ロマンティックな旅行者と、本物の体験と貴重な工芸品の熱心なコレクターのために、オーダーメイドのラゲッジをデザインしました。」と、ランザヴェッキアさんが言う【コレクター】とは、まだ 旅が貴重に思われていた時代の夢想家だと定義しつつ説明します。 「大胆な旅に出て、自分だけの聖域を作るためにお土産をたくさん持ち帰ってくる人を想像しました。ブックレットにはアイテム番号、アイテム収集を行った場所と時間、購入先、そして何よりもそのアイテムに惹かれた理由を書き入れる欄があります。」
「プラスチックケースだらけの今の世の中でこのバッグは何か特別なもの、そして旅人のスピリットを象徴します。」とフン・ウェイさんは付け加えます。「アイコンや典型に遊び心を与えることが好きで、ラゲッジ業界ではグローブ・トロッターほどアイコニックなブランドはありません。」
Photography: Jovian Lim / Wallpaper* Handmade
GLOBE-TROTTING WITH LANZAVECCHIA + WAI
以下、FL:ランザヴェッキアさん / HW: フン・ ウェイさん
世界中で好きな都市は?
FL:ニューヨーク。
HW: ニューヨークはいつでも魅力的。もちろんロンドンも。京都には魔法がありますね。
一度訪れてみたい夢の旅先はありますか?
FL: まだ日本を訪れていないのはきっとあまりにも期待が大き過ぎるからかもしれません。好き過ぎるのかもしれませんね。何度も近くまでは行っているものの、まだ日本の地に降り立ったことがなくて、私にとってはエキゾチックな場所です。
HW: 南米に行ってみたいです。特に「ナルコス」というドラマシリーズを観てからはコロンビアにとても興味が湧きました。キューバも訪れてみたいですね。
FL:私がとても感銘を受けたペルーをぜひ再訪したいです。2年前に訪れたことがありましたが、滞在期間はたったの1週間の一人旅でした。会議のために訪れたのですが、数日ほど滞在を延ばしてマチュピチュを訪れました。圧倒されましたね。
荷造りのスタイルは?
FL:荷造りにかけられる時間がどれほどあるかによりますね。じっくり時間をかけられる時はとてもミニマルなすっきりとした荷造りができます。直前に慌ててやると…
HW: – マキシマムに?!僕は最初に靴をパッキングします。だいたい4足ぐらいですかね…
FL: ミニマルとは程遠いですね…!
HW: 最初に靴を選び、それからCOSの服なら何でも!黒と紺の2色ばかりですね。
FL:空港でのチェックインをとても意識してしまう方なので、iPadやコンピュータ、液体物などはすぐに取り出せるようにすると安心です。最近、生後7か月の娘と海外に出かけたのですが、かなり準備不足で大変な思いをしました。
旅にお出掛けの際、必ず持参するものは?
FL: 悲しいけど、携帯電話ですね。
HW: ノートとペンや鉛筆。音楽。フライト中はポッドキャストをたくさん聴きます。Spotifyから音源をたくさんダウンロードして備えます。
FL:ポッドキャストを聴いたらすぐに寝てしまうわ。
HW: 僕にしてみれば良い気晴らしですね。何せWifiが無い環境ですから。
旅先で何か収集したりしますか?
FL: 展示会の小さなブックレットをたくさん持ち帰ることが多いです。また、大切な人たちへその土地の食べ物をお土産として買って帰ります。それと、謎の物も買ったりするのも好きです。
HW: 塩。最近、コーンウォールでワカメ入りの塩を買いましたが、使う度にコーンウォールを思い出します。
FL: 旅先でスパイスをたくさん買い集めて、日常的に使っています。
©Museum Boijmans Van Beuningen
世界中で好きなギャラリーや美術館は?
HW: パリのルーヴル美術館。ニューヨークのチェルシー地区にも素敵なギャラリーがたくさんあります。東京の六本木ヒルズの最上階、68階にある森美術館も大好きです。高層ビルの最上階に美術館があるなんて思いも寄らないかもしれませんが、実はとても広い美術館が存在します。しかし、最も好きな美術館はロッテルダムにあるボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館です。
FL:ペルーのリマにあるラルコ博物館。土地のクラフトやジュエリー類はとても美しい。地元ミラノではプラダ財団美術館とピレリ・ハンガービコッカ美術館の2つに最も親近感を感じます。2つとも週末のお出掛けスポットとして最適な場所です。ピレリ・ハンガービコッカ美術館では子ども向けの無料アクティビティも行っていますので、いつか娘を連れて行くことを楽しみにしています。
lanzavecchia-wai.com
ニュースレター登録
グローブ・トロッターの最新情報をいち早くお届けいたします。