キャリー・ジョージ・フクナガさんは、脚本家・作家、監督、撮影監督として世界中で活躍しています。テレビシリーズでは、HBOの『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』 のシーズン1で監督と製作総指揮を務め、エミー賞の最優秀監督賞を獲得したほか、ネットフリックスの『マニアック』でも高い評価を得ました。
脚本と監督を手がけた長編映画デビュー作『闇の列車、光の旅』は批評家から高評価を受け、シャーロット・ブロンテ原作の『ジェーン・エア』に続く3作目の長編映画『ビースト・オブ・ノー・ネーション』は、ヴェネツィア映画祭、テルライド映画祭、トロント映画祭の正式出品作品に選ばれ、出演したイドリス・エルバはゴールデングローブ賞と英国アカデミー賞の助演男優賞候補となりました。そして、25作目のジェームズ・ボンド映画となる『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、フクナガさんが監督と共同脚本を務めます。
ジェームズ・ボンド映画を最初に観始めた頃の思い出は?
『007/美しき獲物たち』です。8歳の時、オークランドの映画館で観ました。確か、「グランドレイク・シアター」という映画館だったと思います。ゴールデンゲート・ブリッジが出てくるクライマックスが最高でした。まるで、ボンドが自分のいる世界にやって来たかのようで。ロジャー・ムーアが悪役を痛快にやっつける、クールな映画でしたね。橋のてっぺんで殴り合う場面を見ていて、目まいがしたのを覚えています。同時に、子ども心に、ラッシュアワーの時間にどうやってあんな格闘ができたんだろう、と不思議に思いました。
俳優としてのダニエル・クレイグさんの印象は?
ダニエルは、言うまでもありませんが本当に素晴らしい俳優です。私は彼のジェームズ・ボンドが一番気に入っています。彼のおかげでボンドのキャラクターに複雑さが加わりましたし、繊細な傷つきやすさと潜在する激しい暴力性が同居しているところが、興味深い組み合わせだと思います。過去15年以上にわたって、ダニエルはボンド映画にそういった陰影をもたらして来ました。彼は、ボンドを非常に多面的なキャラクターにしたのです。
ボンド映画といえば、目をみはるようなロケーションが思い浮かびますが、特に強く印象に残っている舞台がありますか?
はい。『007は二度死ぬ』の、火山の中に作られた悪役の秘密基地です。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の一部はボンド生誕の地でもあるジャマイカで撮影されましたが、実りある経験になりましたか?
はい。島の北岸にある、イアン・フレミング邸だった「ゴールデンアイ」に行って、様々なアイデアが生まれた場所を見ることができたのは素晴らしい体験でした。バーバラ・ブロッコリ(マイケル・G・ウィルソンと共にシリーズのプロデューサーを務める)は、早い段階から、ジャマイカを再び舞台にするアイデアについて語っていました。彼女にとって、とても意義深いことなのだと思います。特に今作はダニエルが主演する最後の作品ですし。ジャマイカはボンドにとってとても大きな意味を持つ場所なのです。ある意味ボンドの始まりの地でもあり、映画では、ボンドは引退してここで余生を過ごすつもりでいるという描写をしています……世界が再び危機に見舞われて、ふたたびその渦中に引き戻されるまでの間ですが。
その他のロケ地は、どのように決めたのですか?
どの場所も、自然な流れの中で決まりました。この映画に着手する以前から私はノルウェーに滞在したことがあり、そこの景色に心を奪われていました。イタリアは、『007/スペクター』のラストで夕日に向かって車を走らせる場面から決まりました。イタリアよりもロマンチックな場所は、ほかにありませんよね。マテーラはただただ目をみはるような場所で、絶対にここで撮影しなければと感じました。マテーラは、人が住み続けている街としては世界で最も古いものの一つです。その歴史が肌に感じられるのです。
映画の撮影で訪ねた中で最もワイルドだったのは?
北極圏ですね。野生のシロクマに出くわしたこともありました!
ボンド映画にはスリリングなアクションシーンも欠かせませんが、アクションはどのようなアプローチで撮影したのですか?
ボンド映画ではいつも、ボンドがそこからなんとかして脱出しようと試みる、絶体絶命の窮地を設定することが重要です。アクション場面では、ボンドがA地点からB地点に行くというだけではなく、その間に別の何かが起こらなければなりません。例えば、イタリアでは、カーチェイスのさなかに何かが起こり、それはその後に出てくるアクション場面でもまた登場します。私は自分が映画を再発明したとまではいいませんが、これまでにボンドが陥ったことのないような立場に立たせたのは確かです。
旅人としての、ご自分の最初の冒険は何でしたか?
大学1年の冬休みに初めての一人旅をして、スケートボードでヨーロッパを回りました。
世界の中で何度も繰り返し訪ねて行く地域や、特定の風景などがありますか?
地中海です。
お気に入りの料理は?
100パーセント、日本食が一番好きです。
パッキングのスタイルは?
私のパッキングのスタイルは、間違いなく、ごくミニマルです。
旅行に必ず持って行くアイテムは?
電動歯ブラシです!
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