世界の著名な文化施設は今、その多くが閉館したり、入館を制限したりしています。そんな中でも、バーチャルな体験を通じて文化を楽しめる施設をご紹介します。
コートールド美術館
コートールド美術館(ロンドン)は、大規模改修のためコロナ禍以前から閉館しており、来年春に再オープンを予定しています。
現在は、美術愛好家のために、まるでその場にいるような没入感のあるバーチャル展示が新たに公開されており、画面上で自由に展示室を移動し、マネの『フォリーベルジェールのバー』やゴッホの『耳に包帯をした自画像』などの傑作を間近に、しかもひとりでゆっくりと鑑賞することができます。
Edouard Manet, A Bar at the Folies-Bergère, 1881-2
ルーヴル・アブダビ
ジャン・ヌーヴェル設計の斬新な建築物であり、そして、あのルーヴル美術館がパリ以外の土地に初めて開いた展示施設であるルーヴル・アブダビ。
直接訪れることができないのは、なんとも残念ですが、今、ルーヴル・アブダビでは「Art from Home(自宅で楽しむ芸術)」というサイトを運営して、世界のファンを楽しませています。
ピエト・モンドリアンの絵画から古代マヤ文明の壺まで、同館が収蔵する作品の数々について動画と音声で解説しているほか、各種アクティビティも用意されていて、教育にも非常に役立つコンテンツです。
SNSでも、同館やその作品に関するトピックスを毎日配信しています(@LouvreAbuDhabi)。
Louvre Abu Dhabiís plaza © Louvre Abu Dhabi, Photography: Mohamed Somji
バチカン美術館
今やバーチャルテクノロジーのおかげで、自宅のリビングルームに座ったまま、バチカンの歴史的芸術を鑑賞することが可能になりました。
バチカン美術館がオンラインで公開している7つのバーチャルツアーでは、ローマ時代の彫刻、ルネッサンス時代のフレスコ画、そしてミケランジェロがシスティーナ礼拝堂に描いた約460平方メートルの巨大な天井画など圧巻の芸術作品を、暑苦しい混雑に悩まされることなく堪能することができます。
エドワード・ホッパー展(バイエラー財団美術館)
アメリカの画家、エドワード・ホッパーほど、現代社会の孤独のけだるさを的確にとらえた芸術家はいないのではないでしょうか。
ドイツ、バーゼルのバイエラー財団美術館が閉館直前に公開したインタビュー動画では、学芸員のウルフ・キュスターさんが、開催中だったエドワード・ホッパー展について語っています。
キュスターさんは、展覧会のテーマである「風景」について、またホッパー自身の心の奥にあるもの、さらにはホッパーが現代の芸術家やヒッチコック、デビッド・リンチといった映画の作り手に影響を与え続けている点についても詳しく解説しています。
また同館は一般の人に対し、ステイホーム生活をクリエイティブに過ごすため、「ホッパー的な風景」を創作してハッシュタグ#FollowHoppersViewsとともにインスタグラムにアップすることを勧めています。
EDWARD HOPPER, GAS, 1940 Oil on canvas / 66.7 x 102.2 cm The Museum of Modern Art, New York, Mrs. Simon Guggenheim Fund © Heirs of Josephine Hopper / 2019, ProLitteris, Zurich © 2019 Digital image, The Museum of Modern Art, New York / Scala, Florence
アンディ・ウォーホル展(テート・モダン)
アメリカが生んだもうひとりの巨匠、アンディ・ウォーホルの大規模な展覧会が、この夏、ロンドンのテート・モダンで開催されます。
現在、テート・モダンは閉館中ですが、学芸員のグレゴア・ミューアさんとフィオンタン・モランさんによる新しい動画と、12の展示室すべての解説が公開されています。
マリリン・モンローの肖像画やコカ・コーラボトルの絵、キャンベルのスープ缶の絵など、誰もが知る作品も多数展示されていますが、今回の展覧会ではポップアートの旗手としての一面だけでなく、ウォーホルの人物像の理解も目指しています。
「通俗的に過激で、過激に通俗的」と言われたウォーホルですが、彼自身は、移民の息子で、シャイなホモセクシュアルの青年でした。
やがて20世紀に最も大きな影響力を持った芸術家のひとりになっていくのです。
Andy Warhol (1928 – 1987) Marilyn Diptych 1962 Tate © 2019 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc / Artists Right Society (ARS), New York and DACS, London
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