自然への回帰

03 Jun 20

シェアする

Back To Nature - GLOBE-TROTTER

グローブ・トロッターは、限りない花の魅力と美しさに隠された、思いがけない意味を探ります。

キャサリン妃がバージンロードを歩いてウィリアム王子のもとへ向かっているとき、人々の視線はその美しいドレスに注がれていました。でも、注目を集めたのはドレスだけではありません。 花嫁が手にしたウェディングブーケも、ドレスに負けないほど豊かなメッセージを多くの人に語りかけていたのです。そのブーケは、クリーミーホワイトとグリーンの花々や葉を集めただけの一見シンプルなものでしたが、ふたりの大切なストーリーを表現していました。 ロンドンのシェーン・コノリー・フラワーズがデザインしたもので、両家の融合を象徴するため、それぞれの好みの花を組み合わせて作られました。それらの花のひとつひとつに、深い意味があります。 スズランの花言葉は「幸せの再来」、ヒヤシンスは「変わらぬ愛」、アイビーは「忠実」と「友情」を表し、ギンバイカは「結婚」の象徴です。 そして「愛するウィリアム」という名の「スウィートウィリアム」の花も使われていました。

花には、見た目の美しさだけではない奥深い魅力があります。それぞれに美しい姿をしていますが、中には薬としての力を秘めているものもあります。また、何世紀も前から幸運のお守りとされている一方、ときには不吉な予兆と言われることも。ユリの花は各国の王族の婚礼に欠かせない高貴な花で、古代ギリシャや古代ローマでも、「純潔」と「実りある結合」を表すものとして花嫁のブーケによく使われていましたが、一部の文化圏では、死や葬儀を連想させる花とされています。 デザインの世界でも、母なる自然が生み出した美と、そこに隠された数々の秘密が人々の心をとらえ、何世紀にもわたって多様なクリエイションが創作されてきました。

グローブ・トロッターのデザイナーであり、花をこよなく愛するシャーロット・セドンも、その魅力に心惹かれるひとりです。 「花は、いつの時代も流行の先端にあって、色、テクスチャー、形など、たくさんのアイデアを私たちに与えてくれます。花は、尽きることのない自然の恵みです」

2020年の春・夏コレクションで、セドンはイングリッシュガーデンを舞台とした物語をイメージし、奔放に咲き誇る自然の花を主役にしたデザインを展開しました。

「庭園の中にいて、見渡すかぎり一面の野の花に囲まれている、そんな風景をイメージしました。花盛りのイングランドのイメージです」と、セドン。

ライニングには繊細でありながら華やかな水彩画を用いて、春の躍動感を生き生きと表現しています。そしてもちろん、描かれた花のひとつひとつが、自らのストーリーを誇り高く語っています。

チェルシーガーデンコレクションの花が象徴しているもの

Poppy(ポピー)

やせた土地で育つ美しい花です。平和のシンボルとして広く知られ、ラテン語で「ミルク」を意味する「pappa」が名前の由来。古代ギリシャ、エジプト、ローマでは、 その蜜が鎮静剤として使用されました。

Cornflower(ヤグルマギク)

明るいブルーの洗練された印象の花。希望、団結、富、繁栄の象徴とされています。

Delphinium(デルフィニウム):

行く先々で幸せな気分をふりまくと言われる花で、メドウスタイルの庭園にぴったりの花です。花の形がイルカに見えることから、イルカを意味する古代ギリシャ語が名前の由来になりました。花言葉は「願いが叶う」と「人生を明るく楽しむ」です。

Lavender(ラベンダー):

香りが精神を安定させ、寝つきをよくすると言われています。何世紀にもわたり、冷静、優美、沈黙の象徴とされてきました。

Marigold(マリーゴールド):

鮮やかなマリーゴールドは、「太陽」「美」「創造性」を象徴しています。一方、メキシコでは「Dia de Muertos(死者の日)」の花で、亡くなった人を思い出す花とされています。

Foxglove(ジギタリス):

姿は美しいですが「野生のジギタリスを摘むと妖精が怒る」という言い伝えがあるので、気を付けなくてはなりません。目もくらむばかりの不思議な力を持った野の花です。「エネルギー」「直感」「創造性」「野心」「信頼」を象徴すると言われています。

THE INSIDE STORY

シャーロット・セドンが語る、花の力と、ロンドンのとっておきの散策エリア

2020年春夏コレクションのイラストについて、教えてください。
イラストを描いたのは、私の夫で、イラストレーターのクリスです。幻想的できれいな絵にしたかったので、水彩画のタッチを取り入れてほしいと依頼しました。このコレクションには、デイガーデンとナイトガーデンの2種類のデザインがあり、デイガーデンは春を思わせる女性らしいデザインです。ナイトガーデンの方は、ライニングをモノトーンにしたいということで、ブラックのインクで描いたアイビーのイラストになっています。どちらかと言えば男性的なデザインで、夜の庭で蔦がからみついた壁を眺めているようなイメージになっています。

花がファッションにもたらす永遠の魅力とは、何でしょうか?
ファッションにおいて、花はまさに定番です。時代を問わず、品があって、その流行が廃れることはありません。花を使ってできることはたくさんありますし、さまざまな表現が可能です。花束にしてもいいし、アレンジメントにしてもいいし、種から育てる楽しみもありますね。でも、花そのものをデザインしたのは私たちではありません。デザインしたのは大自然です。本当にすばらしいデザインです。私たちをこんなに幸せな気分にしてくれるのですから。

花の好みは、あなた自身のスタイルにどのように反映されていますか?
実はガーベラやひまわりは、あまり好きではありません。少し気取った堅苦しい感じがするからです。堅苦しいのは苦手なんです。自然の花が好きなのですが、私の中にもそういう部分があるかも知れませんね。好きな花は、例えばアマランサス。観葉植物に近い印象の花です。それから、ドライフラワーもたくさん持っています。ビンテージ感のあるものが好きですね。

どんな花を贈られたいですか?
地元で育った季節の花の花束がとてもうれしいですね。地元の農家の支援になりますし、炭素排出量も減らせますから。 今はピオニーの季節ですが、旬がとても短いので、特別な花ですね。

あなたにとって特別な花はありますか?
カーネーションです。祖母はカーネーションが大好きで、いつも買っていました。だから、私にとって特別な花です。友人は、ありふれ過ぎているから好きじゃないと言いますが、とてもきれいだと思いますよ。それから、ルナリアのドライフラワーも好きです。子どものころ、母がいつも家に飾っていたので、昔を思い出すんです。1980年代にちょっとした流行があったんだと思いますよ。ルナリアの葉は買ってきたばかりのときは緑色ですが、しばらくたって膜を剥がすと、透明な彫刻のような感じになるんです。

最近、家で過ごす時間が長くなっていますが、家の中でいつも花をたくさん飾っているところはありますか?
狭いアパートメントなので、そこら中に飾っています。日当たりの悪い隅っこにはドライフラワーを置いていますし、リビングルームのテーブルは日当たりがいいので、おしゃれな花瓶を置いていつも花でいっぱいにしています。それから寝室には、循環器系の健康にいいというアロエベラを。日曜日は毎週、夫を引っ張ってコロンビアロードのフラワーマーケットに行くんですよ。

外に出て広いところを散策するとしたら、ロンドンのどこがいいですか?
私の住まいの近くにはウッドベリー湿地があって、たくさんの花が咲いています。スプリングフィールド公園も好きですね。夏の暑い日でも、ロンドンの他の公園ほど混んでいないし、大きな丘の上にあってトッテナム湿地を見わたせますし、公園に沿ってリー川が流れています。とてものどかでいいところです。私のとっておきの場所ですね。それから、キューガーデンとハムステッド・ヒースの美しさは言うまでもありませんね。最近は人があまり出かけないので、ロンドンやその周辺の緑地は、いつも以上に緑が多いのではないでしょうか。何もかもが少し明るく感じられます。

▶︎DISCOVER THE CHELSEA GARDEN COLLECTION

ニュースレター登録

グローブ・トロッターの最新情報をいち早くお届けいたします。