126年を経て、これからも:センテナリー・コレクションの歴史

13 Apr 21

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126年を経て、これからも:センテナリー・コレクションの歴史

グローブ・トロッターを代表するデザインの背景にあるストーリーを掘り下げるケース・スタディシリーズ。今回は、センテナリー コレクション の歴史をご紹介します。センテナリーは、どうやって100年を超える伝統を持つグローブ・トロッターの顔になったのでしょうか。

現代的なアイコンとして

ヴァルカン・ファイバーボードのスマートなボディ、均整の取れたレザーのディテール ― とりわけ、ボディをぐるりと一周する2本のレザーストラップが印象的なセンテナリーのスーツケースは、まさに旅の象徴です。しかし125年以上にわたって英国製の鞄を作り続けてきたグローブ・トロッターの歴史の中で、センテナリーの登場は比較的新しいできごとだと聞けば、驚く人もいるのではないでしょうか。

ファッション性の高さが人気に

センテナリーがグローブ・トロッターのラインナップに加わったのは、1997年の秋冬コレクションからです。これをきっかけに、世の中の人々がグローブ・トロッターに対して持つイメージが大きく変わりました。それまでグローブ・トロッターのスーツケースは、老舗の高級店が作った丈夫で機能的な旅行鞄という位置づけでした。

しかしセンテナリーの登場によって、グローブ・トロッターはヒースロー空港を転がして歩くだけでなく、ファッション誌のページを飾るにもふさわしいものになったのです。

その名が示すとおり、センテナリーはグローブ・トロッターが創業した1897年から100年目のセンテナリー・イヤーを記念してデザインされました。鞄づくりを始めた当初から、グローブ・トロッターの工房ではすでに現在とほとんど同じ製法が採用されていました。メインになる素材も現在と同じく軽さと耐久性で知られるヴァルカン・ファイバーボード(後に特許を取得しました)。

その伝統を象徴するセンテナリーは、グローブ・トロッターの保管庫から発見された1910年のデザインをもとに誕生しました。世に出るとたちまち人気を博し、グローブ・トロッターで最も有名なスーツケースになりました。

モンブラン万年筆のマイスターシュテックやロールス・ロイスのゴースト同様、グローブ・トロッターにセンテナリーありと言われるモデルになったのです。こうしてセンテナリーは、世界で最も有名なグローブ・トロッターのアイコンとなり、高度なクラフトマンシップの象徴として人々の憧れを集める存在になりました。

優れた耐久性

エレガントな美しさと優れた実用性を兼ね備えたセンテナリーは、グローブ・トロッターの伝統を受け継ぎながらも、現代にふさわしい自由な力強さを持っています。

頑丈なヴァルカン・ファイバーボードのボディと仕上げのレザーパーツは、旅を経験するごとに美しく歳を重ねます。

センテナリー・コレクションには、ベストセラーの機内持ち込みサイズからがっしりと大きいチェックインサイズ、さらには新発売されたスペシャルエディションのウォッチケースまで、豊富なラインナップがそろっています。20年前の発売以来、多くの著名人がファンになり、ケイト・モス、ディタ・フォン・ティース、ダニエル・クレイグといったセレブリティが愛用する姿が目撃されています。

センテナリーは、グローブ・トロッターの伝統にしたがい、手作業で丁寧に作られています。ボディ用のヴァルカン・ファイバーボードの裁断には長い間、代々伝わる裁断機を使っていましたが、需要の増加に対応するため現在は最先端のレーザー裁断機を使用しています。

ストラップ、ハンドル、コーナー用のレザーは、地元の皮なめし工場から仕入れた上質な材料をサイズに合わせて裁断し、手作業で丁寧に縫い合わせます。コーナーのレザーは、ヴィクトリア朝時代の鋳型で成形したあと、真鍮のリベットを手作業でひとつひとつ打ち込み、商標登録されたスタイリッシュな形に仕上げます。こうして5日間の丹念な作業を経て、世界が憧れる上質なスーツケースの旅の準備が整うのです。

明るく、美しいカラーリング

サファリやプレミアムレンジのデラックスといった他のコレクションと異なり、色遣いが鮮やかなこともセンテナリーの特徴です。
「カラー オン カラー」はボディのファイバーボード、ストラップ、ハンドルをすべて同色に統一した抑制的なカラーリング(デビッド・ベッカムはブラック×ブラックがお気に入りです)で、スタイリッシュでミニマリスティックな美しさが魅力です。一方で、鮮やかなレッドのボディにキャラメルカラーのタンレザーのストラップを組み合わせた人気の配色や、エレガントなレーシングカーのグリーンとブラウンのコンビネーションなど、色彩のコントラストがお互いを引き立て合うデザインのものもあります。
最近は、パンプキンオレンジとネイビーを合わせたり、2019年春夏コレクションではピンク、レモンイエロー、ブルーといったキャンディーカラーのストライプを使うなど、より一層鮮やかなカラーリングも登場しています。
しかし何と言っても、最も強く目を引かれるのは、シンプルなセンテナリーのシルエットをベースに世界的デザイナーが自由にイマジネーションを開花させたコラボレーションモデルでしょう。

クリエイティブなコラボレーション


名だたるファッションブランドとのコラボレーションは、グローブ・トロッターのアイコンであるセンテナリーと世界的才能の融合であり、まさに世界のふたつの「最高峰」が一体化したものと言えます。

昨年は、ベルルッティと、ヴィターレ・バルベリス・カノニコというふたつのイタリアンブランドとそれぞれコラボレーションを行いました。

どちらのブランドも最高の素材を使った独自の表現で知られています。フィレンツェに拠点を置く老舗服地メーカーのカノニコは、特別に開発したサステナブル生地をスーツケースのボディ全体に使用。

一方ベルルッティ・モデルは、2018年にグッチとグローブ・トロッターがコラボレーションした画期的なモデルと同様に、ブランドのシグネチャーキャンバスのプリントを生かしたデザインになりました。

2018年には、イギリス人デザイナーのポール・スミスが自身のシグネチャーストライプの色を駆使したカラフルで洗練されたセンテナリーをデザインし、ニューヨークの宝飾店ティファニーはスーツケース全体をティファニー・ブルーで覆うという大胆なモデルを発表しました。


自分らしくカスタマイズ


センテナリーに自分らしさをプラスして持ちたい人のために、グローブ・トロッターは独自のカスタマイズサービスを提供しています。手軽にカスタマイズしたいなら、イニシャリングサービスを。スーツケースの表面にイニシャルをペイントするこのサービスは、20世紀の初めころ、家族それぞれのケースを見分けやすいと評判を呼びました。一方、すべてを自分好みにしたい方のためのビスポークサービスでは、自由な配色からオーダーメイドのライニングまで、お好きなものだけを使ってご自身のケースを完成させることができます。


ものづくりの100


グローブ・トロッターの長い歴史の中では現代的なモデルに位置づけられるセンテナリーも、間もなく発売から25年を迎えます。今やグローブ・トロッターを代表する人気モデルとなったセンテナリーには、どんな未来が待っているのでしょうか。ひと目でそれとわかるセンテナリーの基本的なスタイルが変わることはないでしょう。しかし、これまでもビスポークサービスやクリエイティブなコラボレーションで常に新しい世界を切り開いてきたように、伝統的な手法の中に新しいテクノロジーを取り入れながら進化していくに違いありません。


確かな未来に向けて


今月、センテナリーの主力モデルの4輪タイプが発売されます。グローブ・トロッターでは今後、すべてのスーツケースに4輪タイプを標準装備していくことを計画しており、今回はその一環となります。あわせて、新しいブランド・アイデンティティも間もなく発表される予定です。

センテナリーはグローブ・トロッターの歴史の節目を記念し、125年の伝統を象徴するコレクションです。しかし、すべてのグローブ・トロッターがそうであるようにセンテナリーもまた、未来に目を向け、心を湧き立たせる新しい時代の流れをしなやかに取り入れていくでしょう。

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