フードライター、トラベルライターとして活躍するジェニー・トレゴニングさん。
自宅はロンドンですが、パリに親類が住んでいるため、ユーロスターに乗ってたびたびパリに出かけるそうです。
そんなジェニーさんに、ありきたりではないパリの楽しみ方を教えていただきました。
パリには光があふれ、愛があふれ、そしてエッフェル塔をバックに自撮りをする観光客であふれています。
何もかもがロマンチックに演出されていて、ここが人々の日常生活の場であることを忘れてしまいそうになります。
ブリジット・バルドーのように美しいパリジェンヌたちが、サルトルの小説を小脇に抱え、ワルツのステップでシャンゼリゼを歩いて行く、そんな美しい映画のセットのようです。
初めてパリを訪れたのは、大学でフランス語を勉強していた学生の頃でした。
壮麗なオスマン建築に興味がありましたし、パリでいちばんおいしいマカロンを見つけることも目的のひとつでした。
その後フランス人と結婚したこともあり、パリの南部に住んでいる夫の家族に会うために数えきれないくらい何度も訪れました。
定番の観光地に飽きたら、街を歩いて素顔のパリを見つけることをお勧めします。
川べりの散策と言えば、セーヌ川のほとりは誰もが思いつくスポットですが、ここはあえて、レピュブリック近くのサン・マルタン運河まで足を延ばしましょう。
この辺りはしばらく前までひっそりとしたエリアでしたが、今は最先端のおしゃれなカフェが軒を連ねています。
ベネチアンスタイルの鉄の橋を見ながら運河沿いをヴィレット貯水池までぶらぶら歩けば、パリ市民の飾らない暮らしを垣間見ることができるでしょう。
夏には地元の人々が水辺で涼を取る姿も見られます。
パリに行ったら、ワインバーは欠かせませんね。
パリにはワインバーがたくさんありますが、お店に入ったら少なくとも1~2時間は滞在してゆったり過ごしたいものです。
ペット・ナットワインと小皿料理が楽しめる店、セプティム・ラ・カーヴ(Septime la Cave)はお勧めです。
さらに、今パリで急成長中のクラフトビールにも注目してください。
ヴィレット貯水池そばのパナム・ブリュワリー・カンパニー(Paname Brewing Company)は古い倉庫を改装したマイクロブリュワリー。
ホップが濃くて歯切れのいいインディアン・ペールエールを提供しています。
浮桟橋を利用したテラス席に出れば、目の前の広々とした運河の眺めも楽しめます。
フランスは肉料理が有名かもしれませんが、私はよくマレ地区のロジエ通りに立ち寄り、ファラフェルを買います。
今や世界的に有名になったラズ・ドュ・ファラフェル(L’as du Fallafel)のピタパンサンドを買って、個人経営の個性的な店が並ぶ通りをぶらぶら歩いてヴォージュ広場まで散歩します。
ラズ・ドュ・ファラフェルは行列する価値のある店です。
通りの向こうに新進気鋭のパティシエの店ヤン・クヴルー(Yann Couvreur)がありますから、並んでいる間に友人に頼んでライムとシソのタルトを買ってきてもらってもいいですね。
ヴォージュ広場はパリで最も古く、最も美しい広場です。
近年、最先端のフードホールがいくつも登場してパリのフードシーンに新しい活気が生まれています。
昨年ロンドンでは、チルクロ・ポポラレとグローリアという2軒のレストランが派手なインテリアと家庭的なイタリア料理で大いに話題を呼びましたが、それらを運営しているレストラングループ、ビッグ・マンマはパリ発祥です。
ビッグ・マンマの最新店舗ラ・フェリチタ(La Felicità)は、13区のコワーキングスペース内にあり、植物をふんだんに使ったおしゃれなインテリアの巨大なホールでイタリア料理を提供しています。
またリヨン駅近くの旧車両基地跡に開店したグラウンド・コントロール(Ground Control)は、インド料理のドーサから台湾のサーモンボウルまで、食べたいものが何でも見つかる便利なレストランです。
パリには1年中通っても見きれないほどたくさんの美術館やギャラリーがありますが、そんなパリで最も新しく、最も幻想的なアート体験ができるのがアトリエ・デュ・ルミエール(L’Atelier des Lumières)です。
鋳物工場として使われていた3300平方メートルの建物を利用した広い空間の中に、デジタルプロジェクションで表現されたゴッホ、イヴ・クライン、マティスなどの作品が投影され、音楽とともに壁や床の上を渦巻くように流れていきます。
まさに最先端の、革新的な芸術の楽しみ方です。
ベルサイユへは前に行ったことがある人、あるいは都会の喧騒をひととき離れたくなった人は、RERのB線に乗ってパリ南郊のソー公園(Parc de Sceaux)に行ってみましょう。
手入れの行き届いた優美な庭園と城は、テレビドラマシリーズ「ベルサイユ」の撮影で、ルイ14世が贅を極めて建設した宮殿として使われました。
4月に訪れれば、日本の春にも負けない美しい満開の桜が迎えてくれます。
ニュースレター登録
グローブ・トロッターの最新情報をいち早くお届けいたします。