Globetrotting With トム・マーチャント

18 Dec 20

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Globetrotting With トム・マーチャント

個人向けにラグジュアリーなオーダーメイド旅行を提供し、数々の賞を受賞するなど高い評価を得ているアメリカの旅行会社ブラックトマト。

今回はその創立者のひとりトム・マーチャントさんに、ブラックトマトや旅行業界全体がどんな方法で2020年を乗り切ったのか、そして今後、旅行のかたちや目的地がどう変わっていくのかについて、お話をうかがいました。

Main image courtesy of Aman Resorts – Amangiri

 

 

1. 2020年はコロナウイルスの影響で旅の方法が変わってしまいました。ワクチンが普及すれば、元の「ノーマル」な状態に戻るでしょうか?あるいは旅行という点において、私たちは永遠に変わってしまうのでしょうか?

もちろん「ノーマル」に戻る部分はあるでしょう。

例えば皆さんの旅行をしたいという気持ちは衰えていないと私は思っています。
何カ月ものロックダウンを強いられて、むしろ強くなっているのではないでしょうか。

しかし変わってしまったこと、これから変わりそうなこともあります。

例えば目的地です。

人の少ない、ソーシャルディスタンスがしっかりと確保された場所が選ばれるようになるでしょう。
また、行けなかった旅行や失われた時間を取り戻そうとして、ひとつひとつの旅行を大切にするようになると思います。

まるでリセットボタンを押したように旅行の意味が見直され、旅行の必要性や価値が再確認されるでしょう。

つまり私たちはもう一度、初心に戻って旅行に向き合うことになるのです。

しかも、考えられる最高の方法で。

(Tres Rios Lodge, Patagonia)

「人の少ない、ソーシャルディスタンスがしっかりと確保された場所が選ばれるようになるでしょう。」

 

2. 誰もが旅行に対して不安を感じるのは仕方がないかもしれませんが、お客様が安心を取り戻すために、何かしていることはありますか?

2020年はルールや規制が頻繁に変わって、落ち着かない年でした。

どこかに出かけたいと思っても、それまで自由に出入りできた国の国境が突然閉鎖されたりするので、どこを予約すればいいかも分からないし、キャンセル料を負担するリスクもありましたね。

この点は本当に悩ましくて、どう対応すべきか、私たちも長い時間をかけて考えました。

その結果、作ったのが「ステート・オブ・フレックス」という仕組みです。

これはお客様が予約を取り消したり延期したりする場合、どんな理由であってもキャンセル料を取らないというものです。
これによってお客様の自由度が増しますし、安心感も取り戻せます。

また、トラベルバブルやトラベルコリドー(特定の国に限定して自由な旅行を認めること)の枠組みに沿ったツアーや、人の少ない場所、アウトドアが楽しめる場所に滞在するツアーなど、新しい旅行商品をたくさん開発しました。

プライベートなレンタルヴィラ、プライベートアイランド、広い空間などに注目したわけです。こうしたことを通じて、お客様が安心して「さあ、出かけよう」という気持ちになっていただけるようにしました。

 

3. ロックダウンの結果、誰もが身近なエリアに目を向け、近場の旅行を考えるようになりました。身近な旅行先の新しい魅力が再発見されているということでしょうか?

その通りです。

私の友人やブラックトマトのスタッフ、お客様など私の周りの旅行好きはみんな、国境が閉鎖されるとすぐに自分の国や地元の地図を引っ張り出し、そのうち行こうと思いながら普段は時間がなくて行けなかった場所を見つけ出しました。

私たちは、アメリカ国内のダートムーア、グランドキャニオン、ケントウィールド、ニューイングランドの海辺の話で大いに盛り上がりました。

ブラックトマトでも、そうしたニーズに応える旅行商品を作りました。「ザ・グレート・アメリカン・ビュー」というツアーがそれで、国内の有名な景勝地に滞在し、土地の魅力をじっくりと味わう旅です。

お客様にはこうした身近な旅行先でも、十分に感動できるポイントを発見していただけたようです。

私たちみんな、自宅の1マイル四方のことに、前よりずっと詳しくなりましたよね。

「当社でも『ロー&スロー(安く、ゆっくり)』な旅について様々に検討しています。移動手段についても、目的地に関しても」

 

4.来年の旅行業界で、最大のトレンドは何だと思いますか?

実際のところ、時間をかけてじっくり旅を楽しむようになるでしょう。

当社でも「ロー&スロー(安く、ゆっくり)」な目的地や移動手段に注目しています。

例えば登山電車で曲がりくねった山道を登ったり、自転車で移動したり、ハイキングをしながら目的地へ行く、というような旅です。

飛行機も有効な手段ではありますが、乗り継いで長距離を移動するには、まだまだ便が少ないでしょうね。

しばらくは地上を離れずにのんびりと時間を過ごし、その土地を満喫する旅が中心になると思います。

 

5. では、実現の可能性は低いけれども、わずかに見えているトレンドや、予想外なトレンドはありますか?

変化と言えるほど意外なものではないかもしれませんが、昔のように旅行の専門家のアドバイスを求める人が増えると思います。

最近はインターネットを使って旅行の計画を立てる人が増えて予約サイトが大盛況ですが、予約サイトはあくまでも予約をするだけのもので、世界の歩き方を丁寧に教えてくれたりはしません。

彼らは旅行の専門家でもないし、いつもそばにいて助けてくれるわけでもないのです。

今年の経験を通して人々は、人間の専門家が提供してくれる深い情報、血の通ったサポート、高度な専門知識の価値に気付いたはずです。

これからは専門家に頼ることが普通になると思います。

彼らには、今のような難しい時期の旅行をサポートしてもらえるだけでなく、簡単に行けるようになってからも、個人の好みに合わせたユニークでパーソナルな旅行のプランニングを手伝ってもらえます。

(Sheldon Chalet, Alaska)

6. 来年、最も人気が出そうな旅行先はどこですか?それは、なぜですか?

そうは言っても、まだまだ行きたくても行けない場所があると思いますよ。制限も残るでしょう。

ですから、実際に「行ける」場所、人が少なくて広々とした場所が人気を集めると思います。

私たちが注目しているのはアルゼンチンとペルーです。
いずれも国土が広く、まだ知られていない美しい風景がたくさんある壮大な国です。

それからモロッコですね。
特にアトラス山脈とアガファイ砂漠は見どころです。

そして、広い国と言えばアイスランド。

あと、あまり知られていませんが、ノルウェーのロフォーテン諸島もいいところです。

 

7. 来年の旅に役立つ、とっておきのアドバイスをいただけますか? これまで思いつかなかったような、新しくて珍しい場所はありますか?

今、ウルグアイが話題です。
隣のアルゼンチンの陰に隠れがちでしたが、その良さが徐々に知られるようになりました。

当社でもウルグアイを中心にした新しい旅行プランを開発しています。

もちろん、他のプランと同様にカスタマイズ可能なプランです。

開放的な雰囲気が楽しい漁村のホセ・イグナシオや、草原に広がる牧場や農場、風光明媚な入り組んだ海岸などの見どころを中心に組み立てています。

のんびりと炉端を囲んだり、ポロを楽しんだり、テラスで過ごしたり、ワインツアーに出かけたりするプランです。

ウルグアイは豊かな文化と、手つかずの自然がたくさん残っている国です。

今後、人気が急上昇すると思います。

 

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(Left image: Skogafoss, Iceland. Right image: Humpback Whale, Iceland)

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(Left image: Mountain Gorillas, Rwanda. Right image: Dahabiya Boat, Egypt)

 

8. 行き先も重要ですが、そこで何をするかも大事です。ワクチンの使用が視野に入ってきた今、どんな体験が求められていますか?

皆さんはたくさんのことを我慢しているので、その分を取り返したいと思っているはずです。

ですから、めったに体験できない感動が求められていると思います。

アイスランド北部で白夜のもと、ザトウクジラと一緒に泳ぐツアーに多くのお問い合わせをいただいていますし、ルワンダでトレッキングをしながらマウンテンゴリラを見たい(これは本当に素晴らしい体験です)というお客様もいます。

モンゴルでトナカイ遊牧民に会う、エジプトでダハビヤ(何世紀も前から貴族が使っていた伝統的な帆船)に乗ってナイル川を下るといったツアーもあります。

かなり贅沢な旅行ですが、皆さんは高いお金を払ってでも行きたいと望んでいるようです。

 

9. 最後に、2021年の最初の旅行に好きなグローブ・トロッターを持って行けるとしたら、どれを持って行きますか? そして、どこへ行きますか?

私は初めて旅行をしたときから、グローブ・トロッターを好きになりました。
すっかり大ファンです。

私にとってグローブ・トロッターは、旅に出て世界を見ることの歴史と感動のすべてが詰まったものなのです。

ですから、定番のものを選びたいですね。

例えばセンテナリーのグリーンかネイビーのキャリーオンケースなどでしょうか。
とは言え、ひとつだけ選ぶのは本当に難しいです。

行き先を選ぶのも難しいですが、イタリアのプーリアは昔から好きですね。

自然体でのんびりした、いかにもイタリアらしいところです。

プーリアを代表するホテルのボルゴイグナシアを定宿にしています。

グローブ・トロッターを持って最初にいくなら、そこですね。

 

Photo credits: Black Tomato

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