グローブ・トロッター版英国スポーツシーズンガイド

07 May 19

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Globe-Trotter's Guide To The British Sporting Season - GLOBE-TROTTER

目玉のスポーツイベントカレンダーと各イベントにピッタリのファッションをヒントに夏は楽しく交流を。

19世紀頃より、「シーズン」の到来を機にイギリスの貴族階級は田園地方での冬眠から抜け出し、夏の間に行われる政治行事やパーティーに参加するためロンドンに舞い降りてくるようになりました。時を経てもイギリスのスポーツシーズンは活気と英国気質に満ちた一大スペクタクルで在り続けています。

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競馬場にて

「シーズン」は伝統的に3月に開催されるチェルトナム・ゴールドカップで幕を開けます。しかし、競馬界の夏のハイライトとしてはロイヤル・アスコット( 6月 18日 ~ 22日)とグロリアス・グッドウッド( 7月 30日 ~ 8月 3日)の 2レースが挙げられます。この 2 レースこそがベテラン競馬ファンも競馬初心者も同様に世界級の平地レースが楽しめる競馬イベントです。しかし、多くの場合、センターステージで注目を浴びるのは馬やレースよりも、観客のエキセントリックなファッションや流儀なのです。アスコットの特別観戦エリアであるロイヤル・エンクロージャーにおける厳しいメンズ・ドレスコードの起源は、靴はシャンパンで磨くべしと謳った 19世紀の洒落男、ボー・ブランメルにあります。ロイヤル・エンクロージャー、もしくは、クイーンズ・スタンドで高位高官と交流したいのならば、黒かグレーのモーニングドレスとシルクハットは必須です。しかし、近年のアスコットは以前よりは敷居が低くなり、ドレスコードもだいぶ緩くなりました。女性のドレスコードについては丈の短いボトムスはご法度ですが、トラウザーズのスーツやジャンプスーツは許されています。さらに、様々な質感の生地や大胆な色味で遊ぶことも奨励されるようになりました。しかし、帽子は当然ながら必須です。一方、グロリアス・グッドウッド(正式名称はカタール・グッドウッド・フェスティバル)では「インフォーマル・エレガンス」な服装が最近の流れです。元英国王のエドワード 7世はグロリアス・グッドウッドについて「競馬レースが行われるガーデンパーティー」であると描写したほど遊び心溢れるイベントです。

ニード・フォー・スピード

老若男女問わず車好きにとってはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードは必見の一大イベントであり、「モータースポーツと自動車文化の世界最大の祭典」として知られています。4日間にわたって行われるイベントは、ウェスト・サセックスに位置する 17 世紀に建てられたグッドウッドハウスを中心に、広大な環境の中開催されます。今年のイベントは多くの変化や新機軸が見られ、例年よりも遥かに特別な催しとなります。最大の新アトラクションとしては 「円形競技場」の「ザ・アリーナ」でしょう。ドリフトする車、スタントドライバー、車とオートバイの斬新なディスプレイが観る者を興奮のるつぼへと誘います。ショールームで披露される前に車の最新モデルを間近で見ることができるファースト・グランス・パドックと呼ばれるエリアは、今年は場所を変え、FoS(フェスティバル・オブ・スピード) フューチャー・ラボの隣に移動します。最大の目玉として日曜日に行われる有名な峠登りでイベントはスリリングなクライマックスを迎えます。ドイツ人 F1レーサーのニック・ハイドフェルドがマクラーレン MP4/13車で 1.16マイル(約 1.86キロメートル)に及ぶコースをわずか 41.6秒で駆け抜け、世界記録を樹立してから今年は 20周年にあたります。多くの技術革新がなされた今年 2019年は、観客も車のブランドも世界記録更新の期待で胸を膨らませています。

川下り

毎年、夏になると何千人もの裕福な観客が世界で最も有名なレガッタ(ボートレース)観戦のためにオックスフォードシャー州にある古風な情緒溢れる町、ヘンリー・オン・テムズに大群となって押し寄せます。ヘンリー・ロイヤル・レガッタ(7月3日~7日)は、英国内にも国際的にもボート競技協会が設立される以前の1839年より毎年夏に開催されている大変ユニークなスペクタクルです。1.55マイル(約2.5キロメートル)に及ぶコースで200以上のレースが行われ、1レースにつき、たった2隻のボートが競い合います。5日間にわたるイベントは世界中のプロフェッショナル競技者だけでなく、イェール大学やハーバード大学といった有名大学のボートチームも参加します。観客のドレスコードもまた1つのスペクタクルと言えるでしょう。6~10年もの待機期間のあるメンバーシップリストを誇るスチュワーズ・エンクロージャーと呼ばれる特別観戦エリアで運良く席を確保できた者は厳しいドレスコードに従わなければなりません。男性はラウンジスーツとタイもしくはネクタイを着用しなければなりません。入手できた場合は、クラブブレザーもしくはチームブレザーをも着用します。パナマ帽は義務ではありませんが慣例的に良いとされています。他の観戦エリアはそれほど厳しい制限はなく、バークシャーの川辺は多彩なスタイルで湧き返ります。多くの観客がキャンディーカラーや粋なカンカン帽を身に着け、楽しいヘンリー・スピリットに酔いしれます。

ラケットの響き

説明無用の言わずと知れたウィンブルドン( 7月 1日 ~ 15日)は世界で最も古い伝統を持つ最も有名なテニストーナメントです。第 1回目のウィンブルドン選手権は 1877年に ” すべてのアマチュアに開かれた芝生コートテニス競技会 ” として開催されました。今日では世界最高峰のテニスプレイヤーだけがかの有名なセンターコートに立ちます。スポーツ史において最も印象深い数々の瞬間の舞台となったのがこのセンターコートです。2013 年にノバク・ジョコビッチに対して劇的な勝利を収めたマレー、1981年の長時間にわたる名勝負で勝利したジョン・マッケンローなど、忘れられない名場面が数多くセンターコートで繰り広げられました。特別観戦エリアのロイヤル・ボックスでは厳しいドレスコードがあり、男性は何時でもジャケットとタイを着用することが求められています。2015年、このドレスコードを守らなかったことでルイス・ハミルトンが退席させられたのは有名な話です。他の観戦席においてもスマートカジュアルな服装が求められています。ブラッドリー・クーパー、ジャスティン・ティンバーレイク、ケンブリッジ侯爵夫人、サセックス侯爵夫人といった過去の有名人観戦客のスタイルからインスピレーションを得ることができるでしょう。

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