グローブ・トロッターは英国の老舗企業2社と協力し、2つのヘリテージカラーのCentenary 125th Anniversary Editionを作り上げました。
グローブ・トロッターのスーツケースを引いて、空港の中をさっそうと歩く。人々の羨望のまなざしを受けながら――そんな経験のある人なら、きっと誰もが知っているはずです。そのスーツケースは、ただの「荷物」ではない特別なものだということを。今、新しく作られるグローブ・トロッターのスーツケースのひとつひとつは、125年の歳月をかけて完成したものだとも言えるのです。
グローブ・トロッターは2022年の今年、創業125周年の節目を迎えました。それだけでもラグジュアリーブランドとして輝かしい実績ですが、さらに驚くべきことに、今でもスーツケース作りの主要な工程を英国内で手作業で行い、グローブ・トロッターを象徴するさまざまなデザインは、創業当時からほとんど変わっていません。
グローブ・トロッターのデザインはシンプルですが、ひと目でそれと分かります。がっしりとした長方形のボディ、レザー製のストラップ、コーナー、ハンドルは、世界で最も有名なデザイン、まさにスーツケースの典型だからです。出会った人がすぐにグローブ・トロッターだと気付き、会話が始まることもあります。
「Centenary(センテナリー)」が登場したのは1997年です。グローブ・トロッターの創業100周年を記念して、初期のデザインを生かしつつ、ボディをぐるりと取り巻くレザーストラップ、伸縮式のハンドルとホイール2個を加えた新しいモデルでした。それまでのモデルはもっとミニマルなデザインで、レザーストラップやホイールがなくアタッシュケースのように持ち上げて運ばれるものでしたが、旅好きのお客様のご要望を受けて2ホイールモデルが(その後4ホイールモデルも)登場したのです。カラーバリエーションも広がり、印象の強い色や実験的な色も使われました。今では、組み合わせを自由に選べるビスポークサービスも始まり、無限のバリエーションが可能になりました。
さまざまなブランドとのコラボレーションも、グローブ・トロッターの大切な歴史です。2004年に英国のブランド、イーリーキシモトと組んで発売した華やかなラゲッジに始まり、数々のコラボレーションを経て、今年はアーティストの David Shrigley(デイヴィッド・シュリグリー) やラッパーの Tyler, the Creator(タイラー・ザ・クリエイター)とコラボレートして彼らの個性を反映したラゲッジを作りました。グローブ・トロッターはこうしたさまざまなコラボレーションを通じて、スキルとクリエイティビティの新しい世界を切り開いてきたのです。
老舗ブランドが自らのルーツを守りながら、同時に新しい時代に受け入れられるためには、変化に適応していかなくてはなりません。グローブ・トロッターが変わらずに守り続けているのは、スーツケースのボディに使用するヴァルカナイズドファイバー(通称:ヴァルカン・ファイバー)です。ビスポークのスキーケースを作るときも、アナログ・ファウンデーションと共同で「リスニング・ステーション」(レコードプレイヤーを備えたポータブルオーディオシステム)を作るときも、メインの素材として使用しました。古紙、綿、ウッドパルプを14層に重ね、圧縮して作った極めて軽く、堅牢な素材です。1859年にトーマス・テイラーが発明し英国特許を取得、ヴァルカン・ファイバーの形成技術はグローブ・トロッターの独自開発として1901年に特許が認められました。翌年の1902年にグローブ・トロッターが英国において登録商品となり、唯一無二のスーツケースブランドとしての地位が確立されました。細かい製法は、グローブ・トロッターの最重要企業秘密になっています。
創業125周年の今年、最新のスペシャルエディションが発売されました。グローブ・トロッターのアイコンであるセンテナリーのデザインをもとに、ヘリテージブラウンとヘリテージブルーの2つの新色で展開する「Centenary 125th Anniversary Edition」 です。2ホイールモデルと4ホイールモデルに加え、初期のモデルを踏襲したホイールなしのデザインも採用しています。
このスペシャルエディションの制作には、グローブ・トロッターと同じ価値観でクラフトマンシップと品質を守り続ける老舗企業2社が協力しています。
そのうちの1社、 Muirhead(ミュアヘッド)はスコットランドの皮革メーカーです。実は、同社がグローブ・トロッターのスペシャルエディションに協力するのは初めてではありません。ブリティッシュ・エアウェイズやオリエンタル・エクスプレスといったラグジュアリーな顧客に協力し、カーボンニュートラルな高級レザーを提供してきた実績があります。Muirhead(ミュアヘッド) も、グローブ・トロッターと同じ1800年代創業の英国企業です。ヨーロッパ最古の皮革メーカーのひとつとして、現在もスコットランドで事業を続けています。
ミュアヘッドはサステナビリティに力を入れており、世界で最もカーボンニュートラルなレザーの製造者として認証を受けています。インテリア用レザーとカスタムプロジェクトを扱う部門を統括しているジョナサン・ロードさんは、レザーは「アップサイクル素材の元祖」だと話します。「レザーに使うのは、動物のわずか1%です。しかも、他の産業から廃棄物として産出されたものです。ミュアヘッドが目指す環境影響ゼロの皮革作りには、最新のテクノロジーと責任あるイノベーションが不可欠で、それらを原動力にして目標達成に取り組んでいます。」
「Centenary 125th Anniversary Edition」では、ミュアヘッドが厳選したレザーを使ってボディ全体を革張りにしました。ロードさんによると、グローブ・トロッターとのコラボレーションに際して「ラグジュアリーファッション業界で重視されているトレーサビリティを考慮してレザーを選びました。」とのことです。「当社もグローブ・トロッターと同じく、英国の産業を支えてきた伝統技術に関する共通の知識やノウハウがありますし、1800年代からものづくりの伝統を受け継いでいる点も同じです。」
一方、「Centenary 125th Anniversary Edition」の内側に施されたオリジナルのシルクジャガードのライニング生地を提供しているのは、英国では残り少ない手織り生地メーカーのひとつ、Gainsborough(ゲインズバラ)です。1903年に創業し、ベントレーや王室を始めとする数多くの顧客にオーダーメイドの高級布地を納めてきました。グローブ・トロッターもそうした顧客のうちのひとつで 、2015年にザ・ゴーリング・ホテルとのコラボレーションでスペシャルエディションのケースを発売したときは、ゲインズバラのエレガントなシルク生地をライニングに使いました。
ゲインズバラのマネージング・ディレクター、ニール・トーマスさんによると、同社の特徴は、完全オーダーメイドによる少量生産が可能なことだそうです。サフォーク州に自社の染色工場と織物工場を持ち、限られた人数の職人たちの手で生産しているため、工程のすべてを管理できるからこその強みです。
「グローブ・トロッターのデザインチームと綿密に話し合い、ライニングとして十分な耐久性と、創業記念の特別なスーツケースに相応しい優雅さを兼ね備えた生地を作ることになりました。当社もグローブ・トロッターも、最終製品の細部にまで自社のこだわりがはっきり見える製品作りを追求しています。品質を見分ける目をお持ちのお客様が求めているのはそういう製品、そういう英国製品なのです」(トーマスさん)
グローブ・トロッターのヴィンセンテ・カステラーノ会長は、次のように話しています。「グローブ・トロッターの創業者たちが目指したのは、姿が美しく、かつ極めて実用的で、生涯にわたって使える丈夫なスーツケースを作ることでした。ひとつひとつのスーツケースに注ぎ込まれた想いの深さとクラフトマンシップは、世界のどこであろうと真似ることはできません。そうした先人の想いを込めたスペシャルエディションのスーツケースはまさに125周年の記念に相応しいもので、これをお客様にお届けできることを心から嬉しく思っています」
The 125th Anniversary Special Edition collection コレクションは、オンラインストアまたは、グローブ・トロッター 各ストアにてオーダーいただけます。125台の特別な限定モデルのため、すべてオーダーメイドとなっております。現在、ご注文を受付中です。
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