アーティストとして自然と向き合う

21 May 21

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アーティストとして自然と向き合う

エレファント ファミリー コレクションの発売にあたり、ライニングのイラストを描いたレベッカ・キャンベルさんにお話を聞きました。

豊かな色彩で描かれた「A Cup of Rosie Lee」について、また、創作や保全活動について語っていただきます。

NGOのエレファント ファミリーとは10年も前から一緒に活動され、アンバサダーも務めていらっしゃいますね。参加したきっかけは何でしたか? また、エレファント・ファミリーの目的についてのお考えをお聞かせください。

始まりは2009年でした。エレファント ファミリーからメールが届き、象のオブジェの彩色をしてくれないかという非常に有難い申し出をいただきました。子どものころから象が大好きでしたので、「イエス」と即答しました。実は、そのメールを受け取る何年も前のことですが、マーク・シャンド氏が王立地理学会の講演で、タラと言う名前の象に乗ってインドのあちこちを旅して楽しかったと話していたのを、私も聞いていたのです。私が彩色した象は、2010年のエレファント・パレード・ロンドンで展示されました。その後、いろいろなキャンペーン活動に参加し、2015年に、光栄にもアンバサダーとして迎えていただいたわけです。

エレファント ファミリーの素晴らしいところは、非常に幅広い地域を網羅していることと、地域に密着した活動に資源を投入していることです。各地の実情をよく知っている地元の取り組みや保護活動家と協力しています。現在、アジア6カ国で200のフィールドプロジェクトが進行中です。

アーティストとしての立場から言うと、とても発想が豊かでクリエイティビティあふれるキャンペーンをしているところが素晴らしいと思います。それを可能にしているのは、(主席理事の)ルース・ガネーシャ氏の並外れた見識の高さと熱い思いです。人々のイマジネーションに訴えかけることによって、アジアゾウの窮状を強く印象づけています。

Rebecca Campbell

エレファント ファミリー コレクションのライニングのイラストについてお聞かせください。「A Cup of Rosie Lee」というタイトルが付けられていますが、どうしてこの絵を描かれたのでしょうか? また、このタイトルにしたのはなぜですか?

私は美術学校を出たあと、バックパックを担いで3カ月間インドの各地を旅しました。その中で特に印象に残っているシーンがあります。タミル・ナードゥ州からケーララ州まで、西ガーツ山脈を横断するローカルバスに乗ったときのことですが、整然と手入れされた茶畑の中を通る曲がりくねった道をバスで下っていると、向こうに象の群れが茶畑の中を進んでいくのが見えたのです。とても感動的でした。お茶の栽培の様子を見たのも、野生の象を見たのも、そのときが初めてでした。「A Cup of Rosie Lee」というタイトルは、茶畑からきています(訳者注:「Rosie Lee」は「Tea」の口語的表現)。そして、イギリスの生活にお茶が欠かせないものだということも表しています。

今回のグローブ・トロッターとのコラボレーションはどうでしたか?

グローブ・トロッターがエレファント ファミリーの支援になるコレクションの発売を計画していると聞いたときは、本当にうれしかったです。グローブ・トロッターは本当にイギリスらしい会社ですし、イギリスを拠点に、クラフトマンシップを大切にしながら細部までこだわり抜いて美しいスーツケースを作っていることなど、あらゆる点で素晴らしい会社だと思います。ケースの中に私の絵があるのを見たときは、感激と誇らしさで胸がいっぱいになりました。

アーティストになったきっかけは何ですか? 子どものころから創作は好きでしたか?

18歳で美術学校に入りました。在学中の4年間は天国でしたが、その後は一歩先に何が待っているか分からないジェットコースターのような日々を過ごしました。しかし、誰かが言っていたように、私が芸術を選ぶのではなく、芸術が私を選ぶのです。子どものころから創作は好きでした。母はよく絵を描いていましたし、私たち姉妹にも何かを作ったり、芸術的な活動をするように勧めてくれました。私たちは自然観察日記をつけていました。田舎育ちなので、常に新しい発見があって絵の素材には困らなかったのです。

新しい絵はどのように生まれてくるのですか? どんなプロセスで?

たいていの場合、コレクションの一部として描くことが多いですね。展覧会に向けてテーマを決めると、どんな絵が必要かが決まります。テーマが決まれば、(うまくいけば)そこからアイデアがわいてくるのです。そのアイデアを、スケッチブックに具体的に表現していきます。小さな四角をいくつも描いて、構成をできる限り完成させてから、トレーシングペーパーに原寸大のスケッチを描き、その後、いよいよキャンバスに描きます。制作中に乾燥させる時間が必要なので、たいてい複数の絵を同時並行で描いていきます。1枚の絵を乾かしている間に、別の絵の続きを描くわけです。絵を描いているときには高い集中力が必要で、絞り出すような思いで描くときもありますが、一方で、癒されるような快適な気分になるときもあります。私が心の安定を保つためには、常に何かを創作していなければならないようです。

Rebecca Campbell

ロックダウンは、創作活動に何か影響を及ぼしましたか?

ロックダウン期間は、いろいろな意味でとても幸運なことに、仕事の締め切りを控えていたので、完全にそれに集中していました。ただ、絵のインスピレーションを旅から得ることも多いので、その点は困りました。しかし、ある大きなプロジェクトでオーストラリアの農園を描いたときは、依頼主が現地を撮影し、たくさんの美しい写真やドローンの映像を送ってくれたので、ニューサウスウェールズ州をバーチャルで旅行しましたね。

新しい趣味や特技を習得しましたか?

新しい外国語を習得しました、と言いたいところですが、それはありませんでした。でも、画家のくせにと思われるかもしれませんが、水彩の使い方を学びました。水彩は扱いが難しい画材ですが、ある企業からディナー用食器のデザインという楽しい仕事を依頼され、そのために必要だったのです。料理のレパートリーも随分増えましたよ。

 

Globe-Trotting with... レベッカ・キャンベル

お気に入りの国や都市はどこですか?

自分が住んでいるところも含めて構わないならば、いちばん素晴らしい都市はロンドンだと思います。30年前から住んでいますが、私が住み始めたころとはずいぶん変わりました。変化し、発展し続ける様子を見るのは、本当におもしろいものです。ロンドンには、常に新しい発見があります。

手つかずの自然を楽しみたいなら、パタゴニアがいいと思います。また、インドはいつ行っても特別なところですね。ラジャスタン州には色彩豊かな文化がありますし、ケーララ州には静かな水郷地帯が広がっています。

メキシコのオアハカは、芸術的なのにのどかな街で、のんびりと過ごすにはぴったりです。それから、マラウィのリウォンデ国立公園を流れるシーレ川のすぐそばのラグーンの土手に、ムヴューウ・ロッジという宿がありますが、ここは大自然を見られる素晴らしいところです。あと、イスタンブールは、東西の出会いや歴史的な遺産が見られます。まだまだたくさんありますよ。

Oaxaca in Mexico

旅行の荷造りはどんなスタイルですか?

きっちりと整理して荷物を詰められたらいいなあといつも思っていますが、できたためしがありません。荷物は軽い方が絶対にいいですね。旅先で見つけたものを入れる余裕を残すために……。

旅先で絵を描いたりスケッチしたりしますか? 描くなら、どんな題材が好きですか?

スケッチはしますが、筆を使って描くことはほとんどありません。たいていの場合、見たものを完璧にスケッチするわけではありませんが、後で絵のアイデアのヒントになります。資料用に写真もたくさん撮影します。ずるいとは思いますが、楽なので。

Jodhpur

これまで滞在した中で、最高のホテルは?

2017年にインドに8日間滞在し、ジョードプル、ジャイプール、デリーの3カ所でITCホテルに泊まり、本当に楽しい時間を過ごしました。どこも素晴らしかったので、ひとつだけ選ぶことはできませんね。豪華でリラックスできるいいホテルでした。エレファント ファミリーとクインテッセンシャリー財団が資金集めのために開催したトラベル・ツー・マイエレファントIIというイベントに参加したのですが、このイベントは、85人の勇敢な冒険者たちがラジャスタン州を三輪自動車で500キロにわたって走るという過酷なレースです。牛やラクダ、派手な飾りを付けた大きなトラックなどを避けながら穴だらけの道を進み、ゴールしたときは全身ほこりまみれです。とても高級ホテルの客には見えない姿ですが、どのホテルでも温かい歓迎を受けました。ブラスバンドの演奏で迎えてくれたところもありました。ホスピタリティ、サービス、料理、すべて最高でした。

これから行ってみたい旅先は?

日本に行ってみたいです。理由はたくさんあります。日本庭園は芸術作品のようだと聞いていますし、満開の桜もきっと美しいでしょう。「お花見」という言葉で表現されるそうですが、とても素敵ですね。タンチョウヅルは私の好きな鳥なので、釧路湿原国立公園に行って求愛のダンスを見るのもいいですね。それから古いお寺と、それとは対照的に目まぐるしい東京の街も訪ねてみたいです。

Nichols Canyon

旅の精神をよくとらえていると思う芸術作品は?

デヴィッド・ホックニーの『ニコラスキャニオン』ですね。この絵をひと目見ただけで、旅に出たような気分になります。道は最初、緩やかに湾曲し、整然とした農地に沿って伸びていますが、やがて険しいカーブが続くつづら折れになり、風景も次々に変化しているので、前進するスピードが速くなったように感じます。そして、道のひと折れごとに、描かれる風景の幅がどんどん広がり、やがて道は地平線を越えて見えなくなってしまいます。地平線の向こうには何があるのでしょうか? 可能性は無限にあります。ホックニーらしい鮮やかな色遣いと明確な表現で描かれたこの絵からは、冒険家精神と生命力が感じられます。

rebeccacampbell.co.uk

 

 

 

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