1960年代のBOAC航空フライトアテンダント、ヒラリー・ファリッシュが、グローブ・トロッターの愛用ケースが、いかにしてブランドの新しいコレクションのインスピレーションの源となったかを語っています。
1960年代には、私はBOAC航空のフライトアテンダントでした。現在BOACはブリティッシュ・エアウェイズ航空(BA)として存続していますが、当時は魅惑的な目的地まで長距離を飛ぶ英国の航空会社でした。BOACクルーの制服は会社から支給されていましたが、シューズとスーツケースは自分たちで購入する制度でしたので、私たちは一番耐久性に優れたグローブ・トロッターのケースを購入していました。
ホテルでは1960年代当時、宿泊者向けにプロモーション用のステッカーを配布していました。他のクルーはそれらを集めてケースの外側に貼り付けていましたが、私はステッカーを綺麗なまま保ちたかったので、ケースの内側に貼り付けていました。
退職後も長年にわたって以前使用していたそのケースを使い続けました。子供たちは、なぜ私が古いグローブ・トロッターを使い続けるか不思議に思っていたようです。そのステッカーは私に、初めて世界を見たときのことを思い出させてくれるので、とても気に入っています。ジャマイカのホテル・フラミンゴ、バンコクのエラワンホテル、銀座東急ホテルなど、たくさんの想い出へと引き戻してくれます。
ケースは最終的にヒースロー空港のブリティッシュ・エアウェイズ・ヘリテージ・センターに寄贈しました。2016年5月まで展示されていましたが、グローブ・トロッターのデザイナー、シャーロット・セドンさんが私のケースに興味を持ってくださり、そこから話は急展開となりました。
私はシャーロットさんに会い、貼り付けたステッカーのお話をしているうちに、彼女はカラフルなステッカーの新しいライニングを作りたいと言い始めました。ステッカーのデザインを使って、バッグや本革アップリケとしてパスポートカバーなどの商品もデザインしました。
美しすぎて、使う気になれないでしょう。
ヘリテージ・センターのケースはシャーロットさんが引き取ったので、代わりに新しいケースを二ついただきました。家族から、新しいケースは「美しすぎて使わない方が良い」と言われていましたが、グローブ・トロッターは使って美しさが増していくものだと思っています。私は誕生日の旅行でオリエント エクスプレスにケースと一緒に乗りましたし、東京で行われた新作発表会のイベントにも一緒に連れて行きました。
今回久しぶりに日本に行って、とても感動しました。60年代に銀座を歩いた時、私たちクルーは街行く人々に注目されました。おそらく背が高いことや日本の方々とは髪の色が違ったため、浮いていたのでしょう。新作発表会では、1960年代から自分が使用していた古いケースと、新作のコレクションのケースが並べてディスプレイされていました。それを見た人々のリアクションを見るのが非常に面白かったです。新品と、使い古された中古は対照的で良いコンビネーションでした。
日本に旅立つ前、ロンドン・ファッションウィークで新作コレクションのイベントに参加させていただきましたが、その時に関係者からグローブ・トロッターはAlexander McQueenやHermèsのようなブランドとのコラボレーションの歴史もあると聞きました。そんな中、今回はグローブ・トロッター史上初のお客さんとのコラボレーションだということを教えてもらいました。私はただステッカーのコラージュを作っただけと伝えましたが、それが「クリエイティビティそのものだ」とおっしゃって頂きました。私は是非この話を孫に伝えたいと思います。
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