サウンドウォーク・コレクティブは、2000年にステファン・クラスニャンスキさんがニューヨークで設立し、後にシモーネ・メルリさんが参加した実験的なサウンドグループです。 詩人でミュージシャンのパティ・スミスや、映画監督のジャン=リュック・ゴダールなど、様々な芸術家やミュージシャンとのコラボレーションも話題になっています。 また、2018年にグローブ・トロッターと共同でハイエンドなポータブルオーディオシステム「リスニング・ステーション」を制作した、アナログ・ファウンデーションにも参加しています。世界の扉が開く日を辛抱強く待つ今、季節を感じさせてくれる音楽について、サウンドウォーク・コレクティブに聞いてみました。
Brian Eno — And Then So Clear
ブライアン・イーノ「アンド・ゼン・ソー・クリア」
ブライアン・イーノが二十数年ぶりにボーカルを吹き込んだ23枚目のスタジオアルバム『アナザー・デイ・オン・アース(Another Day On Earth)』。 その2曲目に収録されているのが「アンド・ゼン・ソー・クリア(And Then So Clear)」です。 先日、私たちが声楽療法の研究をしているときにこのアルバムに出会いました。 ブライアンは男声を女声に変換するボイスチェンジャーを使い、ピッチを1オクターブ上げて、まるでボコーダーのような声で歌っています。明るく、空高く突き抜けるような解放感がとても印象的で、夏が待ち遠しくなるサマーバラードです。
Soundwalk Collective with Patti Smith, featuring Philip Glass and the Sufi group of Sheikh Ibrahim — Eternity
サウンドウォーク・コレクティブ&パティ・スミス feat.フィリップ・グラス&スーフィー・グループ・オブ・シェイク・イブラハム「エタニティ」
この曲では、「それは海だ。太陽と溶け合っている。」というフレーズが何度も何度も繰り返されます。 スーフィー教の導師たちが唱えるチャンツ(詠唱)と、フィリップ・グラスが奏でるウーリッツアーのエレクトリックピアノに合わせ、パティ・スミスが、スーフィー教の伝統に従ったコール・アンド・レスポンスでランボーの詩「永遠(エタニティ)」の一節を朗読しているのです。 人生の後半をアフリカで過ごした詩人アルチュール・ランボーへのオマージュとして、サウンドウォーク・コレクティブが作曲しました。 エチオピアで行われたレコーディングでは、アーティストたちがお互いの気持ちを高め合うなかで、無意識のうちに体が動いてダンスが始まりました。
Chris Watson — El Tren Fantasma
クリス・ワトソン「エル・トレイン・ファンタズマ」
“幽霊列車”の旅を再現した「エル・トレイン・ファンタズマ(El Tren Fantasma)」。 人々の生活、野生動物、そしてメキシコ最大級の建築物である鉄道を走る旅そのものを題材に、それらの雰囲気、リズム、音をとらえています。真新しい記憶が呼び起こされるようなサウンドです。
Moondog — Conversation and Music at 51st St 6th Ave (New York City)
ムーンドッグ「カンバセーション・アンド・ミュージック・アット・51stストリート・6thアベニュー(ニューヨークシティ)」
ムーンドッグはミュージシャン、作曲家、理論家、詩人、さらには楽器の発明家としての顔も持っています。 アメリカ生まれの彼は、16歳で失明。 1940年から1972年までニューヨーク市内に住み、6番街の52丁目~55丁目にたびたび姿を見せたといいます。 バイキングのような装束(マントとツノのついたかぶと)を着て、ときにはストリートで音楽を演奏したり売ったりしたこともあったようですが、たいていは、だまって歩道にたたずんでいたそうです。 この曲は1956年のアルバム「More Moondog」の中の1曲で、夏のニューヨーク6番街51丁目の交差点で彼自身がフィールドレコーディングした音源をもとに作曲されました。 サウンドウォーク・コレクティブの初期のころ、ニューヨークで初めてフィールドレコーディングをした時の背景と重なるものがあり、私たちにとっては、とても共感できる曲です。
Luc Ferrari – Presque Rien N° 2 Ainsi Continue La Nuit Dans Ma Tête Multiple
リュック・フェラーリ「プレスク・リヤンNo.2 アンシ・コンティニュー・ラ・ニュイ・ダン・マ・テット・ムルティプル」
リュック・フェラーリは、イタリアにルーツを持つフランスの作曲家で、ミュジーク・コンクレート(録音した音をミキシングして作る音楽)やエレクトロ・アコースティック(電子音響)音楽のパイオニアです。 「プレスク・リヤンNo.2(Presque Rien N° 2)」は、まさに夏そのものというサウンド。 作曲を終えたとき、リュック・フェラーリは、「レコーディングエンジニアがマイクで包み取ろうとした夜の風景の描写。しかし、夜は、この“サウンドハンター”を驚かせ、彼の頭脳にしみ込んだ」という文を書き残しています。
The Globe-Trotter × Analogue Foundation
Listening Station
グローブ・トロッターとアナログ・ファウンデーションによる「リスニング・ステーション」プロジェクトについて詳しくはこちらをご覧ください。
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