現代の旅人にとってはスピードが一番かもしれませんが、古き良き長距離列車の旅の浪漫は今だ健在です。タイムレスな時を超えて愛され続ける名作「オリエント急行殺人事件」のリメイク版新作映画とのタイアップを機に、世界の豪華列車の旅の魅力を紹介します。
アガサ・クリスティー原作、1934年のベストセラー推理小説「オリエント急行殺人事件」の新たなハリウッド版リメイク作品が、今年 12月に公開が予定されています。列車に乗り合わせた乗客を演じるのはペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、デイジー・リドリー、ジョシュ・ギャッドなど、多くのスターが揃った豪華キャストの面々。乗客全員が容疑者となった列車内での殺人事件を名探偵エルキュール・ポアロが解決に挑みます。
グローブ・トロッターが映画に登場するのは初めてではありませんが、グローブ・トロッターの個性的かつヴィンテージな審美観と、この物語が設定されている時代に博していた人気を思えば、今回、「オリエント急行殺人事件」に取り上げられたのはごく自然な流れだと言えましょう。浪漫あふれる旅の時代を彷彿とさせるのがグローブ・トロッターの特徴資質です。過ぎ去った時代に思いを馳せる乗客を乗せ、現代の豪華列車は世界屈指の絶景や手つかずの自然の中をひたすら走ってゆきます。
ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス
Venice Simplon-Orient-Express
世界一有名な列車内で華やかな 1930年代を(ポアロ探偵とは無縁のところで)追体験してみてはいかがでしょうか。伝説的な「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」はアガサ・クリスティーの小説に描かれた、シリアのアレッポを起点とするルートとは現在は微妙に異なるルートを辿ります。現在はイスタンブールとベニス、またはパリの間を、年 4回のスケジュールで運行されています。きっちりとユニフォームを着用したスタッフが乗客の全てのニーズに応え、4点コースの素晴らしいお食事やアフタヌーンティーを連日満喫できる洗練された世界が列車内でに息づいています。そしてシャンパングラスから車窓へ、5分ほどだけでも目をそらせばすことができれば、魅力的な景観にうっとりすることでしょう。
belmond.com/venice-simplon-orient-express
シベリア鉄道
Trans-Siberian Railway
壮大な列車の旅の極みは「シベリア鉄道」でしょう。1916年より 1万キロに及ぶロシア横断の旅をし続けています。シベリア鉄道本線はモスクワとロシアの最東端ウラジオストクを結び、モンゴルを経由するモンゴル縦貫鉄道、満州を経由する東清鉄道のどちらかを利用する 2つのルートが存在します。多くの運行会社や行程の選択肢があり、時間と予算によって独自の旅のプランが可能です。最も贅沢なオプションとしては、「 ジャズ・エイジ」 と呼ばれる狂騒の 1920年代を彷彿とさせる豪華絢爛な内装を誇るゴールデン・イーグル・エクスプレス号。贅沢な雰囲気に包まれながら雪に覆われた山々、広大な草原、古代の湖など、車窓に映る母なる大地の荘厳で多様な景色は格別なものがあり、列車の旅の醍醐味を味わえます。
クルーズトレイン ななつ星 in 九州
Seven Stars in Kyushu Cruise Train, Japan
日本では新幹線をはじめとする高速列車は大人気ですが、2013年にJR九州はスピード化された鉄道の対極に位置する日本初の豪華寝台列車の運行を開始しました。総工費 30億円をかけて作られたクルーズトレイン「ななつ星in九州」はラグジュアリークルーズの常識をも塗り替えるほどにレベルアップした贅沢の極みと言えます。 14室のみの客室数は特別感をより一層高めます。ローズウッドとメープルを使用したエレガントな壁、木のレースのような繊細で美しい組子細工、名工の手による色絵が美しい洗面鉢など、贅と美を尽くした内装は和と洋を融合させた独特な雰囲気を醸し出します。一際目を引くのは、専属のピアニストとヴァイオリニストによる心地よいセレナーデが流れるラウンジカーの壁いっぱいに設置されたパノラマ車窓。 1泊 2日コース、または、3泊 4日コースのどちらのコースをとっても九州の美しい自然など魅力を満喫できる内容となっています。贅を尽くした客室スイートから一歩出ると、悠然とした火山、豊かな田園、そして湯けむり立ち上がる温泉の素晴らしい景観が目の前に広がります。
ザ・ガン(オーストラリア)
The Ghan, Australia
多くの旅人にとって、オーストラリアの果てしない海岸線はぜひ訪れたい場所の一つとして高い人気を誇ります。一方、オーストラリア大陸の中心にある荒涼とした褐色の大地、通称レッド・センターはあまり多くの観光客が寄らない未開の地です。そんなオーストラリアの謎に包まれた神秘的な大地を探検する一つの方法として有名な長距離列車「ザ・ガン」が挙げられます。「ザ・ガン」という名は今から 150 年以上前に同じルートを辿ったアフガニスタンのラクダ調教師たちにちなんで付けられました。3 泊 4 日の列車の旅はダーウィンからアデレードまで 3000 キロに及ぶオージー・アウトバックの冒険の旅です。象徴的なウルル(エアーズ・ロック)をはじめとする名所を訪れるデイ・トリップなど、お楽しみも満載です。
ブルートレイン(南アフリカ共和国)
The Blue Train, South Africa
南アフリカで最も有名な機関車のかつての姿は今ほどカラフルではありませんでした。1920 年代にブルートレインの原型となる「ユニオン・エクスプレス」(北行き)と「ユニオン・リミテッド」(南行き)が運航を開始し、 1943年にスチール製の新型列車が登場しました。“青い列車”と地元の人々から親しまれた新型列車は、運航開始から 3年後に「ブルートレイン」と正式に改名されました。行政の首都プレトリアからケープタウン間の、青々とした豊かな風景が続く約 1600キロの距離を走行します。南アフリカの大地には多くの伝説に満ちていますが、鉄道愛好家たちがブルートレインに強い憧れを抱く所以は “走る超高級ホテル” との異名を持つブルートレインの申し分のない完璧なホスピタリティにあります。列車内は 5つ星レベルのサービスに溢れています。専任の執事サービス、ハイ・ティー(軽食付きの午後のお茶)を提供するメイン・ラウンジ、そして 5点コースの豪華ディナー。もちろん、上等な南アフリカ産ワインもふんだんに振る舞われます。
「オリエント急行殺人事件」
トルコ発フランス行きの寝台列車オリエント急行で起きるストーリーは、最もスタイリッシュでサスペンスフル、そしてスリリングなミステリーへと発展していきます。全員が容疑者である列車に取り残された 13人の見知らぬ人々の物語である。この列車に乗り合わせていた世界一の探偵エルキュール・ポアロは、列車内という動く密室で起こった事件の解決に挑む。ケネス・ブラナーが監督を務め、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチ、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、ジョシュ・ギャッドなど豪華なキャストが出演しています。
2017年12月8日(日本劇場公開)
監督: ケネス・ブラナー
脚本: マイケル・グリーン
原作: アガサ・クリスティ
製作: リドリー・スコット マーク・ゴードン サイモン・キンバーグ ケネス・ブラナー ジュディ・ホフランド マイケル・シェイファー
キャスト: ケネス・ブラナー ペネロペ・クルス ウィレム・デフォー ジュディ・デンチ ジョニー・デップ ジョシュ・ギャッド デレク・ジャコビ レスリー・オドム・Jr. ミシェル・ファイファー デイジー・リドリー マーワン・ケンザリ オリビア・コールマン ルーシー・ボーイントン マヌエル・ガルシア=ルルフォ セルゲイ・ポルーニン トム・ベイドマン
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