運命の一足:エドワードグリーン × グローブ・トロッター

02 Sep 19

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運命の一足:エドワードグリーン × グローブ・トロッター

2019 9 月、グローブ・トロッターのアルバマール本店にて、同じメイフェア地区に店舗を構える高級シューメイカーのエドワードグリーンをお迎えして特別インストアイベントが開催されました。

この特別イベントを記念して、今回、エドワードグリーンのオペレーションズマネージャー、アンソニー・バン氏にエドワードグリーンというブランドや、メイフェア地区の魅力、伝統的なブランドのとめどない魅力などについてお話を伺いました。

 

エドワードグリーンの物語を簡単に教えてください。

エドワードグリーンは 1890 年の創立以来、最高品質の素材と伝統的な技術を駆使して世界最高峰の靴を作って参りました。

イギリスのノーザンプトンにて大量生産技術が成長しつつあった時代に靴作りを始めたわけですが、創設者のエドワード・グリーン氏は生産の近代化における大量生産とは全く異なるヴィジョンを抱いていました。

グリーン氏は単に、可能な限り高品質な靴を作りたい一心でした。

そのため、少ない生産数であっても、できる限りの上質を求めることにこだわったのです。

今日でもその哲学は変わりません。

エドワード・グリーン氏の家族は 1970 年に会社を売却しましたが、ブランドが真の転機を迎えたのは 1980 年代半ばに、スペインとイタリアで技術訓練を受けてきたチェコ人の靴職人、ジョン・フルスティック氏に売却されてからでした。

大変残念なことにフルスティック氏は 2000 年に亡くなってしまいましたが、その後はフルスティック氏のパートナー、ヒラリー・フリーマンさんが後を継ぎ、今日においても経営に深く関与されています。

 

エドワードグリーンの靴が特別な理由とは?

私は常にこう思っています。

エドワードグリーンの靴は衝動買いや思い付きで買う物ではない、と。
一種の投資だと思っています。

また、世代を繋ぐ商品でもあります。
父親と息子が連れ立って一緒に店舗にいらして最初の一足を買い求める光景も珍しくありません。

また、ブランドのメインアピールは品質です。

エドワードグリーンの評判は長い間かけて育まれてきたものであり、靴の寿命の長さにも高い品質が表れています。

週に 300 足ほどの生産量ですので、決して大量生産というわけではありませんが、量よりも真に高品質な靴を作ることにこだわっています。

 

エドワードグリーンの定番スタイルとは?

エドワードグリーンを象徴するアイコニックなモデルは 4 つあります。

ChelseaDoverGalway、そしてPiccadilly 4 種は、それぞれにユニークな特徴をもってエドワードグリーンの伝統を象徴しています。

例えば、Chelseaモデルは伝統的なキャップトゥ(ストレートチップ)のオックスフォードタイプで、世界的に紳士用フォーマルシューズの代表格と認められています。

フェイシング(紐通しの部分)から流れる感じでサイドに「スワンズ・ネック」と呼ばれる非常に独特なステッチが施されているのが特徴です。

現在、Chelseaモデルは 3 種類のラスト(木型)、さらにレザー、もしくはラバーの 2 種類の素材のソールからお選び頂くことができます。

また、お客様自身がお好みの靴をカスタマイズして頂けるようオーダーメイド・サービスをご用意しております。

 

生産工程における伝統技術を維持することはエドワードグリーンにとってどれほど重要なのでしょうか?

エドワードグリーンの基本精神は「妥協の無い品質」です。

ブランドにとって最重要な価値観であり、私たち従業員はこの基本精神を常に心に留めておくことが極めて重要なことなのです。

弊社の品質管理は非常に厳しい基準を設けており、不完全だと見なされた商品は全て破棄されます。

ジョン・フルスティック氏は完璧な一足を作り上げるために優秀な職人たちのチームを作るべく、ノーザンプトンで最も優れた職人たちで工場を埋め尽くそうと考え、行動しました。

彼のそうした大胆な野心と情熱こそがエドワードグリーンを世界に知らしめた原動力だと私は確信しています。

加えて、現代の生産方法に適応することも重要だと考えていますが、エドワードグリーンの靴の魅力は伝統技術や伝統の機械が根源となっています。

靴に秘められた歴史と個性こそがエドワードグリーンの魅力なのです。

 

今回のグローブ・トロッターとの共同イベントはどのような経緯で実現したのでしょうか?

2018 11 月に弊社の東京・銀座店を訪れたのですが、ちょうどグローブ・トロッター 銀座店の 2FTHE CLUB HOUSE」にてコラボレーションイベントが行われており、大好評を博していました。

イギリスに戻り、ロンドンにおいても東京と同じようなセッティングのイベントはきっと大盛況となるだろうと思ったのです。

今回のコラボレーションイベントでは、エドワードグリーンとしては靴の手縫いステッチに焦点を当てたいと考えました。

Dover というとてもアイコニックなモデルがありますが、手縫いのエプロントゥ(爪先を大きな革で覆う仕上げ)が特徴となっております。

このエプロントゥは非常に繊細で正確な手作業を要します。

今回のイベントにノーザンプトンの工場より父と息子から成る手縫いチームを連れていき、手縫いのデモを行いました。

グローブ・トロッターとのコラボレーションともなれば何でも実現可能だという安心感があり、大きなやり甲斐を感じながら大変楽しく企画させて頂きました。

グローブ・トロッターの魅力とは?

競争の激しい市場にてブランドの革新と多様性を実現させながらもグローブ・トロッターの豊かな伝統を見失わずにいられる姿勢を以前からずっと尊敬して参りました。

私個人からすれば、グローブ・トロッターは市場を真に独占していると思わずにはいられません。

グローブ・トロッターの商品はどれも大変素晴らしい作りで、非常に独特で唯一無比だと思います。

エドワードグリーンの店舗はメイフェア地区の中心にあたるジャーミン・ストリートにありますが、メイフェア地区の魅力とは?

私はメイフェアが大好きです。

街に溢れる自然、雰囲気、ショップ、レストラン、ホテル、バー、どれをとってもメイフェアらしい特徴に溢れています。

それほど広い範囲ではないので、全てが手に届く範囲にあるのも利点です。

ビスポークシャツと世界一流の靴のお店が立ち並ぶジャーミン・ストリート、ビスポークスーツ店が立ち並ぶサヴィル・ロウ。

角を曲がればすぐに世界一流の時計店や宝飾店が立ち並ぶボンド・ストリート。

美しいバーやレストランが立ち並ぶバークレー・スクエア。

私自身の最もお気に入りのショップはサヴィル・ロウにあるDege & Skinnerですが、家族経営のミリタリーテイラーで、スーツとビスポークシャツの仕立てが大変素晴らしいテイラーです。

食事どころとしては、45 Jermyn Streetというレストランが大のお気に入りです。

 

世界でお気に入りの都市や国は?

エドワードグリーンのスタッフとして卸売業者を訪ねて世界中を旅する幸運に恵まれてきました。

先述の通り、最近、東京を訪れました。
東京には確立された市場があり、非常に充実した時間を過ごす事ができました。

日本人はとにかく礼儀正しく、おもてなしの精神に溢れており、温かい歓迎を受け、大変居心地よく過ごすことができました。

また、日本食の美味しさにも感動しました。
食事のためだけでも再訪する価値がありますね。

日本の顧客様の素晴らしいところは、商品に対する情熱に溢れているところです。

靴の作り方などの話を大変熱心に聞いてくださり、靴作りに要する時間や労力に対して深い尊敬の念を抱いてくださっています。

東京と同じく、ニューヨークも似たような理由で好きな街です。
ロンドンも然りですね。

都会の活気、ナイトライフ、食事、多様性、そして何もかもにアクセスし易い利便性が好きです。

 

訪れたい場所のリストに挙がっている国や都市は?

イタリアのフィレンツェですね。

世界中の会社や商人や小売業者が新商品を展示する年 2 回の見本市、Pitti Uomoに参加するため訪れる予定があります。

この見本市は伝統的な職人技が中心となっており、テイラー、靴、生地などの業者や商人のブースが立ち並びます。

エドワードグリーンも年 2 回、Pitti Uomoに出展しますのでスタッフの一員として訪れる予定がありますが、できれば人で溢れかえっていない時期のフィレンツェを堪能してみたいです。

 

旅にお出掛けの際に必ずお持ちになるものは?

カルティエのトラベル用ブレストウォレットですね。

パスポート、クレジットカード、名刺を全て一ヶ所に収めることができ、さらに異なる通貨の紙幣を分けて収められるいくつかのスロットがあり、実用性に優れているウォレットです。

加えて、業者などと打ち合わせを計画する際に大変便利な小さなスケジュール帳を収められるスペースもあります。

1970 年代に作られたヴィンテージのカルティエのウォレットで、自然で美しい経年の古つやと味を帯びています。18 金のコーナーもスタイリッシュです。

今となっては旧友のような存在のウォレットです。

荷造りのスタイルは?

旅の予定がある際は事前に全てが整っているように万全に準備をする方です。

できる限り出発の 1 週間前には服など持ち物を用意するようにしています。

出発当日の朝、空港に向かう時に慌てることなくサッと鞄を持って出かけることができるという安心感があるのは良いことです。

逆に、空港に着いてから電源アダプターやサングラスを忘れてしまったことに気付く瞬間は最悪ですね。
結局、免税店で不要な出費が発生してしまうわけですから。

幸運にも、私は紳士靴メーカーの以前にもシャツメーカー、紳士帽メーカー、そしてテイラーで働いていた経験がありますので、効率的な荷造りには多少のノウハウがあります。

 

靴のパッキングについてのコツなどは?

普段は木製のシュー・ツリーを使っていますが、旅で持ち運ぶには不向きですので、旅に出る際には大変便利な軽量のプラスチック製木型を靴に入れていきます。

また、エドワードグリーンのローファーは柔らかいベビーカルフスウェード素材でできており、柔軟に折り畳むことができますので旅には理想の一足として大変お薦めです。

 

エドワードグリーン × グローブ・トロッターのインストアイベントは2019910日に開催されました。

 

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