My Globe-Trotter... ギャレス・スカウフィールド

18 Dec 18

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My Globe-Trotter... Gareth Scourfield - GLOBE-TROTTER

グローブ・トロッターのスーツケースとその愛用者との関係を紐解く新シリーズの初回では、スタイリスト兼メンズウェア編集者兼クリエイティブ・コンサルタントのギャレス・スカウフィールド氏にお話を伺いました。

ダニエル・クレイグ、リチャード・マッデン、ターロン・エガートンなど世界のセレブが式典でレッドカーペットを歩く際のスタイリングをするために世界を駆け巡っているのですが、それ以外の時間、ギャレス・スカウフィールドはメンズライフスタイル雑誌「The Jackal」のスタイルディレクターとしてファッションの名言を書き連ねています。今回、ギャレスさんは 23 年間も愛用し続けているグローブ・トロッターとのエキゾチックな旅、ミニマリスト的荷造りの極意、そしてファッション評論家の大御所、スージー・メンケス女史の前で失態を見せてしまったハプニングなどについて語っていただきました。

ギャレスさんご愛用のグローブ・トロッターの物語をお聞かせください。
90 年代に GQ 誌に入社した頃は撮影や出張などへ持っていくためにグローブ・トロッターが 6 つか 7 つほどオフィスにありました。頑丈でしっかりとした作りで安定感がありましたね。当時の市場には良質なスーツケースはそれほどなかった時代でした。また、当時のファッションディレクターは個人用に 1 ケース所有していました。私も仕事で使っているうちにどれほどこのケースが品質の良く、頑丈であり、スマートなデザインであるかということに気づきました。私もいつの日か、自分だけのグローブ・トロッターのケースを買おうと心に決めました。数か月ほど貯金をして費用を準備し、ようやく自分用のグローブ・トロッターを手に入れました。ベルトが付いていない旧型で、黒のボディーに栗色のレザーコーナーが付いているケースを選びました。

ギャレスさんのケースには様々なステッカーが数多く貼られていますが、きっかけは何でしたか?
私のケースが初めて空港のコンベヤーベルトに乗って回ってきた時に、セキュリティ検査済みのステッカーが貼ってあるのを見てゾッとして怒り心頭でした。その後、何度か同じことが起きましたが、しばらくすると私も諦めて、剥がすことなく貼り付けたままにしたセキュリティステッカーがいくつかあります。最初のステッカーがどれなのか、実は、記憶が曖昧なのですが、とにかくある時点から、単に旅の思い出や記念にステッカーを収集し始めたのです。ハワイ、モーリシャス諸島、ロサンジェルス、ヨーロッパ各地など、土地のステッカーもあれば、ブランドのステッカーもあります。いくつかのスニーカーブランド、アップルのロゴ、そしてイラストのステッカーまで。ある時、ヒースロー空港で、「ケースの写真を撮らせてください」と声を掛けられたことがありました。その後に気付いたのですが、写真を撮った男性はデザイナーで、彼がデザイナーを務めているブランドのステッカーが私のケースに貼り付けられていたようでした。

ケースを褒められることは頻繁にありますか?
そうですね、しょっちゅう褒められます。荷物のコンベヤーベルトの前で荷物を持っている時も、隣に立っているまったく見知らぬ他人からも褒められることもありますね。チェックインカウンターのスタッフからも、これまでの旅について興味津々に聞かれることも。私がケースと巡り合ってからの 23 年間、修理には 2 度しか出しておらず、そのうちの 1 回は鍵の修理のためでした。そういえば、ちょっと恥ずかしい話を思い出しました。ファッションウィーク開催中のパリの空港でのことですが、私のスーツケースがコンベヤーベルトで運ばれてきた時、衣類が少し飛び出してしまっていました。下着ではなかったことが不幸中の幸いでしたが。隣にはファッション評論家の大御所、スージー・メンケスさんが荷物を待って立っていました。私のケースを一目見て、彼女は「あら、いやだわ!」とビックリされていました。私はあまりの恥ずかしさのために、彼女が立ち去るまでケースをコンベヤーベルトの上でぐるぐる回らせてしまいました。

2度目の修理はどのような修理でしたか?
今年の初めのことでした。メイフェア店にスーツケースを持ち込んで、初めてしっかりとフルサービスを受けました。少し前に車輪の調子が悪くなったのですが、知らずのうちに車輪のひとつに穴が開いていたことが判明しました。工場で直すのは難しいかもしれないと言われ、落ち込んでしまいました。決して手放したくないケースですからね。しかし、最終的にはなんとかリペアしていただくことができました。しかも素晴らしい仕上がりでした。車輪を新品のものと付け替え、新たなライニングを施し、側面にハンドルまで付け加えてくれたのです。側面のハンドルが有ると無いとでは雲泥の差ですね。リペアから戻ってきた時、グローブ・トロッターのチームから心温まる手紙が同封されていました。ブランドとして社内で保管しておきたいと思うほどに素敵なケースだ、という内容でした。

ケースと共に出かけた旅で最も遠くまで行かれた旅はどちらまででしたか?
旅には毎回ケースと共に出かけますが、最近、妻のオーストラリアへの旅に貸しました。私抜きでケースが旅した中ではオーストラリアへの旅が最も遠いかもしれませんね。私と共に出かけた旅としてはハワイでしょうか。他にもニューヨーク、マイアミ、インド、南アフリカなどへもケースと共に出かけました。移動距離はたっぷり稼いできていますし、いつもファーストクラスというわけではありませんでした。ジープの荷台に載せられたり、かなり怪しい場所にも行きました。カナダの人里離れた湖、砂漠、火山にまで一緒に旅をしてきました。波乱万丈のケースの人生だと言えるかもしれませんね。最初にケースに傷がついた時は「ああ!」と悔しがったものですが、使い込んでいくうちに、ケースは愛されているが故に使い古されるものだ、と思うようになりました。使われるために作られているわけですからね。

ギャレスさんの荷造りのスタイルは?
きっちり整理するタイプかもしれません。妻は私の正反対のタイプですが。カプセルワードローブとでも言えるような最低限の服の一式のみで着回します。目的地をしっかりと見据え、発つ前に目的地の天気予報などをチェックします。荷造りの際は、ベッドの上に洋服を並べ、予備のシャツやジャケットは詰めないようにします。撮影用に多くの方のスタイリングを担当してきた経験によるものなのでしょうね。撮影では必要最小限のアイテムでやりくりしなければならないわけですから。14 日間、毎日違う洋服を着るわけにはいきません。私の旅の計画の仕方や荷造りの仕方はこのようにとてもミニマルです。荷造りの際は洋服をきちんと畳み、収納袋に入れてからケースに詰めます。そして、必ずスチーマーも詰めていきます。宿泊先がどのようなホテルであっても、到着次第、スムーズに荷ほどきができるように詰めていきます。

旅へお出かけの際に、他に必ずお持ちになるものはありますか?
This Works というブランドのラベンダーの枕スプレーも必ず持っていきますね。すごく気に入っていて、フライトにもホテルにも持参します。私はどこでも寝られるタイプで、立って寝ることもできてしまうかもしれないほどですが、時差ボケはきつい方です。目的地がどこであれ、良質な睡眠を得るためにスプレーを持参しています。馴染みのある香りに安心するのでしょうね。見知らぬ土地で馴染みの香りを嗅ぐと不思議と落ち着くのです。

グローブ・トロッターと最後に出かけた旅はどちらでしたか?
今年の 6 月、ダニエル・クレイグのオメガ用の撮影でニューヨークに出かけたのが最後ですね。それ以前は、復活祭の休暇でモーリシャス諸島まで家族旅行をしました。とても素敵な場所でした。

次の旅の予定はいかがですか?
1月はファッションショーがあるので、フィレンツェ、ミラノ、パリでしょうか。もちろん、グローブ・トロッターと一緒に。

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